コンドームを使わなければ妊娠出来ると思っていた


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その頃から、当時はまだ世間に関係を公表していなかった彼に「子供が欲しい」という話をし始めました。それまでにも「いつかは」ということは話していたけれど、具体的な時期の話をしたのは初めてでした。ただ、彼はすでに、若い頃に離婚した元奥さんとの間に子供がいたことや、仕事が順風満帆なことを理由に「もう少し先がいい」と乗り気ではありませんでした。そんな彼の気持ちを子育てに向けようとじわじわとプレッシャーをかけていたら、(私にとってはじわじわでも、彼にとってはかなり重かったらしく)あっけなくフラレてしまいました。そのあたりのことは別の本(『旦那観察日記〜AV男優との新婚生活〜』スクウェア・エニックス)

に書いているので、それを読んでもらうとして、その4ヶ月後に、復縁しようと彼が言ってくれた時、私から出した譲れない条件の一つが「子供を持ちたい」でした。彼は一度私と離れて一人の時間を満喫したことにより、「子供を持ち、家族になっていく」ことに前向きになってくれたようで、その条件をのんでくれました。子供だけが欲しいなら、いろいろ別の方法も考えられたかもしれませんが、私の場合、「子供が欲しい」には「愛する人との子供」を「一緒に育てる」ことまで込みだったので、彼が乗り気になってくれないと何も始まらないのでした。そして、彼の気持ちも固まったことで、ようやくスタート地点に立てました。それが、2018年の2月末のこと。

私のほうは、彼の気持ちが変わらないうちに「一刻も早く、明日からでも子作りを!」という前のめり具合だったのですが、彼は仲良しの男友達と「新元号生まれの子供がいいね、そして一緒に子育てをしよう!」なんて話で盛り上がったらしく、「新元号生まれになるように、子作りをしたい」と言い始めました。――まさかこんなところで元号が出てくるなんて夢にも思わなかったです。平成生まれだろうと次の元号だろうと、顔に元号が書かれて生まれてくるわけでもあるまいし、一体どんなこだわり……と内心思ったものの、出産に関しては、彼のほうが私の希望を尊重して歩み寄ってくれたように感じていたので、それがたとえ私にはよくわからない希望であったとしても、私も彼の希望を最大限尊重するのが筋だと思いました。「ガンダム」を見たことがない私には、ガンダムオタクが語る魅力は理解出来ないけれど、その人がそれをとても好きで、大切だという気持ちは理解出来るし尊重します。それと同じで「理解出来ないけれど、尊重する」という態度は、どんな関係を築くにしても必要不可欠なことだと思っています。

そんなわけで、逆算して「子供が新元号生まれになる」ことが確実になる2018年の夏から本格的に子作りを始めました。そして、夫と新元号ベイビーの約束をしていた友人は、見事にたった1回の挑戦で子供が出来たのです。おめでたの報告を聞いて「我々も続かなくては……」という気持ちも湧き、すでに付き合いも長く、関係の落ち着いていた彼と大いに照れながら、子作りに挑戦しました。夫との子作りに関しては、前の奥さんとの間に短期間で子供を2人も作っている実績から(向こうは双子ちゃんです)、妊娠力の強さを勝手に信じており、たった数回の挑戦で、私は完全に「妊娠したかも……!」と思ってしまいました。その時期、今から思い返せばただの風邪だったのですが、体調の悪い日が数日あったので「妊娠 超初期 具合悪い」などというキーワードで調べまくり、妊娠したつもり満々で、ノンカフェインコーヒーを頼んだりしていました。ところがそのすぐ後にあっけなく生理が来てしまい、そこで初めて「あれ、おかしい……」となり、病院に行きました。

婦人科のお医者さんに生理の記録やエコーで子宮周辺を見てもらって、初めて私は、「これまで全く見当違いの、出来るはずのない日にトライしていた」ことに気づき、完全なる無駄撃ちをしてしまったことに心が砕けました。排卵日を狙ったつもりだったのですが、私の生理周期は正常な周期からズレていたことが病院で初めてわかったのです。(つづく)

▼4月16日発売です


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