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〈ファクトシート〉AI戦略会議座長・松尾豊東大教授の企業役職関連情報

岸田文雄内閣は2023年5月、生成AIに関する政策の司令塔として「AI戦略会議」を設置し、松尾豊東大教授(座長)ら8人の構成員を任命した。当時から、松尾氏は「AI研究の第一人者」「東大教授」としてたびたびメディアに登場し、生成AIの可能性と推進の必要性を語っていた。

その松尾教授は、AIビジネスにも関わる人物でもあり、AI政策と密接な「利害関係」を有しているとみられる。しかし、メディアはそうした側面を伝えず、政府も、自らも、積極的には開示していない。そのため、一般には松尾氏の「東大教授」「AI専門家」以外の面はあまり知られていないとみえる。

こうした利害関係を有する人物は、政府の重要政策の方向性を事実上左右しうる司令塔的な会議の座長としてふさわしいのだろうか。少なくとも利害関係情報は、詳らかに開示されるべきではないのだろうか。

AI戦略会議には、松尾氏以外にも、AI政策と利害関係をもつメンバーが多数いるとみられるが、ここでは、座長である松尾豊氏に絞って、AI企業・ビジネスと関係する情報をまとめて整理する。

(いずれも、2024年5月22日現在のオンライン公開情報である)


松尾豊氏のプロフィール情報

まず、松尾豊氏の主なプロフィール情報に、AI企業・ビジネスと関係する情報が掲載されているかどうかを確認する。

東京大学公式サイト

教員ページの「経歴」には、学者としての主要な経歴が掲載されているのみで、AI企業・ビジネスと関係する情報はない。

研究室のページ

研究室のページのメンバープロフィールには、学者としての主要な経歴のほか、AI企業・ビジネス関連では、以下の情報が掲載されている。

2017年より日本ディープラーニング協会理事長。
2019年よりソフトバンクグループ社外取締役。

松尾・岩澤研究室Membersより

researchmap

学者としての主要な経歴が掲載されているのみで、AI企業・ビジネスと関係する情報はない。

個人サイト

個人サイトのプロフィールには、学者としての主要な経歴、業績、社会活動の経歴のほか、AI企業・ビジネス関連では、研究室のページと同じく、以下の情報が掲載されている。

・2017年6月より、日本ディープラーニング協会 理事長
・2019年6月より、ソフトバンクグループ株式会社 取締役(社外)

松尾豊(ymatsuo.com)より

メディアのプロフィール(東洋経済オンラインなど)でも、AI企業・ビジネス関連の役職は「日本ディープラーニング協会 理事長」「ソフトバンクグループ株式会社社外取締役」のみ紹介されている。

政府の公開情報

AI戦略会議の公開資料には、「東京大学大学院工学系研究科 教授」と書かれているのみであり、議事要旨にも、利害関係情報の開示は見あたらない。

第1回AI戦略会議(2023年5月11日)配布資料1より

松尾豊氏の企業役職関連情報

オンライン上で確認できた松尾豊氏の企業役職・株主関連情報を列挙する。研究室の門下生のスタートアップ企業が多いようであるが、それ以外のものもある。そのほぼ全てがAIビジネスに関係しているとみられる。(順不同、2024年5月現在)

【上場企業】

ソフトバンクグループ株式会社 社外取締役

※ 社外取締役報酬は6名合計で1億9300万円(1人平均3216万円)

GMOインターネットグループ株式会社 AI顧問


【その他・株主情報あり】

株式会社neoAI 大株主

株式会社DeepX 主要株主

株式会社Ollo 主要株主

株式会社PKSHA Technology 大株主役員(技術顧問)

株式会社Almondo 主要株主技術顧問


【その他・株主情報なし】

株式会社ABEJA 技術顧問

株式会社ACES 技術顧問

bestat株式会社 技術顧問

株式会社ELYZA 技術顧問

燈株式会社 技術顧問

connectome.design株式会社 技術アドバイザー

YCP Holdings (Global) Limited シニアアドバイザー


【社団法人】

一般社団法人日本ディープランニング協会 理事長


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