【ニュースチェック】改正特措法の実態は「政府案丸のみ」

議会制民主主義が機能した改正特措法成立 コロナ禍、「批判ばかり」でない存在感示した野党(2021/2/5、尾中香尚里著・47NEWS)へのコメント(Yahoo!オーサーコメントに大幅加筆)

「議会制民主主義が機能した改正特措法成立 コロナ禍、『批判ばかり』でない存在感示した野党」というタイトルの長文の政治論評記事(47NEWS配信)がYahoo!のトップに掲出されていました。大手新聞社の政治部記者だった尾中香尚里氏による論考です。

筆者は<自民党と立憲民主党による与野党協議の結果、懲役刑を含む刑事罰が全削除されるなど、メディアが「野党案丸のみ」と呼ぶ大きな法案修正が実現した>と書いていますが、修正合意された法案は、昨年12月提出の野党共同提出の法案とは全く異なる内容で、実態は「政府案丸のみ」に近いものでした。

補償規定を含む野党案が反映されていませんでしたし、罰則規定やまん延防止等重点措置といった政府案の骨格はほぼ全て維持されていたのです。

「議会制民主主義が機能した」というのも、論評は自由とはいえ、驚きです。国会審議を始める前に密室で修正合意し、土日を挟んでわずか4日後に採決したプロセスのどこが、議会制民主主義なのでしょうか。

伊吹文明元衆院議長も「国会審議も経ずして修正するのは異例だ」と苦言したほどの、極めて異常なプロセスだったのです。

自民・伊吹氏、審議前の修正協議に苦言 新型コロナ(2021.1.28時事通信)
 自民党の伊吹文明元衆院議長は28日の二階派会合で、新型コロナウイルス対策の特別措置法改正案などの修正協議に関し、「国会審議も経ずして修正するのは異例だ。国会での議論を国民に見せた上で、直していくのが議会制民主主義の基本だ」と述べ、苦言を呈した。

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