人間の真価がわかるとき

子罕第九 232歳寒くして、

(原文)子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。

(書き下し)子曰く、「歳寒くして、然る後に松柏の彫(しぼ)むに後るることを知るなり。」と。

(口語訳)先生が言われた、「気候が寒くなってはじめて、松や柏がしぼまないのがわかる。」と。

(註)范氏が曰うことには、小人は治まった世に在っては、或いは君子と異なることが無いかもしれない。惟だ、利害に臨み、事変に遇って、然る後にはじめて君子たるものの守る所の節が見(あらわ)れるのである。○謝氏が曰うことには、士たるもの窮まってはじめて節義を見(あらわ)し、世が乱れてはじめて忠臣を識ることができる。〔孔子は〕学者を必ず徳に周しからしめようと欲しているのである。ー『朱子集註論語全訳』(白帝社)

(註)歳寒 寒い年ではなく、一年のうちの寒い季節をさす。 柏 日本の「かしわ」ではなく、檜に似た常緑樹である。ー『全釈論語』(福音館小辞典文庫)

(註)後彫 「彫」は凋、しぼむ、散る。松や柏だけは凋まないで残ること。ー『鑑賞中国の古典2 論語』(角川書店)

子曰。歳寒。[一年ノ時候シハスノ頃ノ巌寒ニナリタルヲ云.各別ニ寒キ年ノ事トスルハ.歳云云ト云詞ノ例ヲシラヌ僻コトニテ事情ニモタガヘリ]然後[サテコソハジメテ○常盤来ナラヌ雑木ニモ又.強弱ノシナジナアリテ.秋ノ初ヨリ寒前マテニ.追々ニ彫(やぶ)ルルナリ]知松[マツノキ]柏[コノデガシハ.又ヒノキ○此二ツヲアゲテスベテノ常盤木ヲ云]之後彫也。[謝肇淛云ク.常盤木トテモ終ニ彫レヌニハアラズ.春夏若葉ノシゲル時ニ.ハジメテ古葉ノ彫ルルナリ.サルニ因テ彫レズトハイハズシテ.後ルトハイヘルナリ○タトヘタル意ハ.治平無事ノ世ニハ人ノ賢不肖士ノ忠不忠別チガタシ.危乱艱難ノ時ニナリテ.始テ其ケヂメ見ユルモノゾトナリ]ー『論語參觧』五巻 鈴木朖(離屋)∥著 名古屋 秋田屋源助 明治7刊 5冊


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