見出し画像

犬とフローリングと病気について

室内犬を中心に日本では一般的になったフローリング床を原因として、発生してしまう病気(膝蓋骨脱臼)についてまとめました。
※全ての原因が床材ではありません。先天的な原因もあります。

室内犬が人気

スクリーンショット 2020-08-12 19.39.30

出典 アニコム,"家庭どうぶつ白書",2019,P4
https://www.anicom-page.com/hakusho/

 ランキングにもあるようにトイプードル、チワワの2トップは昔から変わらない印象があります。また上位に小型犬・超小型犬が多くランクインしており、共通して膝蓋骨脱臼(パテラ)になりやすい犬種です。

代表例:トイプードル、チワワ、パピヨン、ポメラニアン、ヨーキー、シーズー(大型犬でも見られる病気です)

膝蓋骨脱臼(パテラ)

 先天的に腱が弱い場合や、怪我などによって後天的に発症する場合があります。痛みが発生しない軽度のものから、歩行困難に至るまで症状があり、意外と気づかないことも多いそうです。程度によってグレードが1から4まであり、根本的な解決には外科手術が必要で、費用もうん十万円とかかるようです。プロモーションでもなんでもありませんが、是非とも保険に入っておくことをお勧めします。

画像2

出典 アニコム,"【犬のパテラ】アレするだけで、発症率が下がる!?"
https://mag.anicom-sompo.co.jp/8089

フローリングが原因で症状が悪化する?

 痛みがある無しにかかわらず、長く健康的に過ごすためにも小型犬のパテラ発症は可能な限り避けたいところです。室内犬が暮らす環境ではほとんどのお宅がフローリング床を採用されていると思いますが、このフローリング床が犬と相性がなかなか悪いのです。

 一般的に工業製品として出回っているフローリング材は、耐久性やメンテナンス性を考慮して滑らか表面になっている事が殆どです。特に安価な材料になればなるほど、表面に使われる素材が滑りやすい(ツルッとした表面)になり、犬の足裏が滑りやすくなってしまいます。滑るほど力が空回りしてしまい、負担が大きくなってしまいます。また高価な無垢材でも表面の加工によっては同様に滑りやすくなっていますので、フローリングを採用する際はコーティング材を塗布する、表面の加工があるものもサンプルを取り寄せて確かめるという事が重要です。

 イメージですが、滑り止めの効かない靴でスケートリンク上をかけっこしてみたらどうなるか想像してみましょう。おそらく転ばないように強張ってしまい筋肉痛になったり膝を痛めてしまうはずです。まして人間なら多少知恵を使ってコントロールできるでしょうが、犬は好奇心で追いかけたいものは無心で追いかけ、大事なパートナーであるあなたの元へ走ってくるでしょう。

 遊んでいるつもりが、気付いたら愛犬の足を痛める原因になってしまっているかも知れません。

 ↓対策はこちらにざっくりとまとめてあります。↓

※こちらの記事は追記、追加予定です。

 カーペット床が滑りにも効果的ですし、クッション性もあるのでお勧めしていますが、うまく空間に配置しないと安っぽく見えてしまうため、トータルでコーディネート、平面計画をされると良いと思います。また衛生面が気になる方も多いと思いますが、タイル式カーペットなら部分的な交換も比較的容易です。

 一方お洒落な空間のためにフローリング材を選ウェんだ場合にもコーティングを施す事で滑り対策になりますが、かなり表面がテカテカになる事が予想されますので(艶控えめのコーティングもありますが、完全に艶がなくなるわけではありません)、ナチュラルな風合いの空間、無骨な空間ではマッチしない可能性もあります。逆に、ウォルナットなどのダークトーンの空間であれば高級感が増します。

対策は組み合わせて考える

 ここまで膝蓋骨脱臼とフローリング材の関係について記しましたが、床材を変える事以外にも対策は沢山あります。例えば靴下を履かせたり、こまめに足裏のお手入れ(爪切り、バリカン)をする事でも対策になります。

また、犬種、個体差、性格によっても生活する空間は異なってきますから、パートナーであるあなたが、普段の様子をよく観察して、年齢や症状に合わせて柔軟に対応する事が重要です。

まずは普段の様子をしっかりと観察する事、かかりつけの獣医さんに相談してみることを第一にお勧めします。

建築家としてできること

 犬の寿命は人間よりも短く、いずれお別れを迎える事になるのですが、一度飼うと決めた以上は大事な家族の一員として同じように扱ってあげたいと思います。「犬のくせに」なんて思わずに、限られた時間を健康に楽しく過ごすためにも、住まいを新築、リノベーションを計画する際は愛犬とのコミュニケーションを大事に計画をご提案したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?