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#001 札幌北斗高校演劇部…反骨心の物語

 3月14日(月)、北海道の空知にある砂川市という町で公演を行います。本来ならばこの公演は先月の4日に終わっているはずでした。しかし道のまん延防止等特別措置が発令され、会場である「砂川市地域交流センターゆう」が閉鎖せれたため延期となり、まん防は3月6日で解除されるだろう、と甘く考えていたら再延長となりました。当初3月14日を予定していましたが、これもきわどくなって来ました。ただ、観客席を1/5とする、感染対策を徹底するということと、各方面からご支援もあり、特別に閉館中の「ゆう」を開けてもらえることとなり、何とか公演することができました。

 今回上演する『寛政DIE-HARD  REBOOT』は、2020年秋に高文連石狩支部で上演した『寛政DIE-HARD』という舞台の再演です。2020年というと、この年、2月頃から世間で「新型コロナウイルス」という話題が広まり始めた頃です。そのころはまだ「外国で発生した病気かぁ」とあまり実感がわかなかった気がします。まさかその後、何年も世界中の人たちの日常生活の様式を一変させることになるとは微塵も考えておりませんでした。きっと当時の自分に今の話をすると、近未来のSF映画の世界のように感じたかもしれません。その2月に、我々は北翔大学円山キャンパス多目的ホールで、『お母さんの彼(ハハカレ)』という舞台の公演が控えておりました。さらに3月には『Re;女生徒』という舞台の準備も並行して進めていました。しかし、感染拡大を受け、2つの公演は中止となり、その残念会ということで、芝居仲間と札幌の某居酒屋で飲んでいたところ、お店のテレビモニターに道知事が現れました。何でも「非常事態お宣言を発令するから不要不急の外出を避けて」と訴えておりましたが、あまりピンとは来ませんでした。その後、それに遅れて首相が全国に非常事態宣言を出し、3月までは学校は休校を宣言、そしてこの休校は一旦解かれましたが、結局6月まで休校となりました。

 その間、学校だけではなく、世の中のプロやアマチュア含め、次々と公演が中止となりました。そもそも多くの劇団は潤沢な資金で運営しているわけではないため、公演が中止となると死活問題です。感染対策を徹底し、何とか上演に漕ぎつけようとしたならば、世間からヒステリックで、容赦ないバッシングを浴びせられたようです。「自粛警察」なる言葉も記憶に新しいと思います。
「演劇やエンタメがなくても生活には困らない」「皆、苦しい中、頑張ってるのだから、演劇やエンタメも我慢しろ」「コロナがおさまってからやれ、なぜ待てない?」「そんなにやりたきゃ、YouTubeででも配信すれば?」などの言葉が、飛び交いました。

 その頃、休校で生徒の来ない学校で、何だかモヤモヤしながら誰もいない教室で教室でカメラの前で授業配信などしてました。『寛政DIE-HARD』はそんな空気の中で書かれた舞台です。この作品は従来の私の書く物語とは、まるで違うテイストの作品で、根底にあるのは、このモヤモヤした空気感への抵抗。物語の舞台を江戸時代寛政期(1791年)前後に設定し、幕府の風紀粛清・出版統制に対し、自由を求め、抗う人たちを描いています。しかし私たちは「時代劇」を作りたいのではなく、「2022年」の現代の物語を作ったつもりです。

 初演の2020年では、上演にあたって直前までコロナに振り回され、本来意図したし形での上演は出来ませんでした。しかし、きっと次にこの舞台を上演できる頃にはコロナもおさまって、もっと自由に上演できるだろう、と思っていました。残念ながら、未だその状況にはありません。こんな時代だからこそ、もう一度この舞台を、さらにより当初の姿に近い形での上演を!ということで「REBOOT(再起動)」と銘打った改訂版が今回のバージョンです。

 初演版との違いは、上演時間が初演版は57分(大会用のため)に対し、REBOOT版は66分となっていること、キャストがREBOOT版では番頭役に瑣吉という新キャラが登場したことです。初演版では幾五郎という人物が番頭でしたが、瑣吉を投入したことにより、幾五郎の役割がシンプルになり、彼のキャラクターが明確になリました。初演版でも瑣吉を投入するアイデアはありましたが、当時の部員数の都合見合わせとなりました。
 初演版では幾五郎、鉄蔵を女子が演じておりました。これは意図していたものではなく、当初配役されていた男子部員が降板した結果です。今回は予定通り男子部員でキャスティングできたました。

初演版の舞台写真
REBOOT versionの舞台写真


※フライヤーは、延期前の日程のものです。

 フライヤーのビジュアルモチーフはもちろん、映画『ユージュアルサスペクツ』。
この芝居もあの映画同様、アウトローたちが主人公。映画では謎のギャングのボス「カイザー(皇帝)」は一体誰なのか?がテーマ。この芝居でも、謎の絵師、「東洲斎写楽」とは誰か!というお話で、ベクトルは一緒。さらに背景にバンクシーを描いてみたのですが、これも「謎の絵師」というメッセージであり、芝居は時代劇の形式をとりつつも、現代の芝居という印象を与えたい、という狙いがあります。

 高校演劇ですが、演劇というもの自体、まだまだ自分の学校でも認知度は低いように感じます。小学校や中学校の学習発表会や文化祭のクラス発表の「劇」のようなものだと思われています。何とかそれを払拭したくて、本校では数年前から公演ごとにフライヤーを作り始めております。手描きで学校の印刷機で刷るチラシも悪くはないですが、近年、かなり手軽に印刷してもらえるサービスがあるのでそれを利用しています。

エンディングは、FRIDE PRIDEのSMOKE ON THE WATER

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※著作権は作者に属します。

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