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day 6|AIと創造性 (3)


はじめに

前回は、ChatGPTのプラグインのひとつである ScholarAI を使用して、「創造性」に関する最近の研究をピックアップしてもらい、簡単なサマリを作成してもらいました。

以下に、論文タイトルとサマリを示します。

論文タイトル: Intelligence and creativity share a common cognitive and neural basis.

簡潔な論文レビュー:

・研究の背景と目的
知能と創造性が同じ認知・神経系に依存しているかを調査。

・研究の結果
知能のさまざまな側面と創造性の間に中から大の相関が確認。
特に、一般知能と創造性との間に大きな相関(r = .63)が存在。

・得られた示唆
知能と創造的思考は共通の認知・神経基盤を共有している可能性が示唆された。

論文リンク: https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fxge0000958


レビュー方法の設定

ScholarAI を使用した論文レビューを行うにあたって、レビュー方法を設定しました。レビュー方法を設定する際、落合陽一さんのフォーマットがかなり有用であるというブログを拝見し、そのフォーマットを活用させてもらいました。


以下が、ブログで紹介されていたフォーマットです。

1. どんなもの?
2. 先行研究と比べてどこがすごい?
3. 技術や手法のキモはどこ?
4. どうやってどうやって有効だと検証した?
5. 議論はある?
6. 次に読むべき論文は?

このフォーマットに項目をひとつ追加し、以下のように ScholarAI にプロンプトを入力してみました。

●User:
論文のレビューをお願いします。
こちらがレビューしてほしい論文のリンクです。 https://tmpfiles.org/dl/3299898/01_creativity-intelligence-brain_psyarxiv.pdf

条件: レビューは日本語でお願いします。

レビュー方法:
 1. 以下のフレームワークにもとづいてレビューお願いします。
 2. フレームワークの項目と説明を確認してください。
 3. 各項目一つずつレビューをしていきます。
 4. まず、該当する項目について、3つ程度の箇条書きで概説レビューを出力してください。
 5. その後、その項目に関する、詳細レビューをお願いします。
 6. 各項目のレビューは、レビュー内容を確認後、次の項目に移るよう指示を出します。

フレームワーク:
 項目1: どんなもの?
 説明1: 何を目的・趣旨として設定し、何について研究したものなのか。

 項目2: 先行研究と比べてどこがすごい?
 説明2: 先行研究とレビューする研究の位置づけや違いは何で、どの点で優れているのか。

 項目3: 技術や手法のキモはどこ?
 説明3: 研究内で用いられている技術や手法のうち、重要な点は何か。

 項目4: どうやって有効だと検証した?
 説明4: どのような方法で、研究結果の有効性を検証したのか。

 項目5: 得られた示唆は?
 説明5: この研究結果から得られた、最も重要な示唆は何なのか。

 項目6: 議論はある?
 説明6: この研究結果を踏まえて、さらに追求すべき領域や深堀りすべきポイントはどこか。どのような研究の余地があるか。

 項目7: 次に読むべき論文は?
 説明7: 研究結果をよりよいものにするために、また、関連する研究を前進させるために、どの論文を読むべきか。どの研究内容を抑えておくべきか。


レビューの実施

実際に、レビューをやってみた結果の一部を示します。
概説レビューと詳細レビューの二段階でのレビューをお願いしました。

概要から具体論に入り込むかたちでレビューを実施し、初見でもある程度分かりやすく理解できるようレビューできたと思います。

例えば、項目1については以下のようにレビューをしてもらいました。

○ChatGPT/ScholarAI
項目1: どんなもの?


概説レビュー
・この論文は、知能と創造性が異なる能力なのか、または同じ認知・神経システムに依存しているのかを探求しています。
・研究では、若年成人のサンプル(N = 186)を使用し、知能と創造的思考タスクのバッテリーを完了しました。
・目的は、知能(例えば、流動性と結晶化知能)の特定の側面と創造的能力(すなわち、発散的思考の独創性)への寄与を評価することでした。

詳細レビュー
この論文は、「知能」と「創造性」の間の関係を明らかにすることを目指しています。具体的には、若年成人186人を対象に、知能と創造的思考タスクの様々な側面を評価し、これらの能力がどの程度重なっているかを調査しています。研究の主な分析目標は、知能の特定の側面(例えば、流動性と結晶化知能)と一般的な知能が創造的能力(すなわち、発散的思考の独創性)にどのように寄与するかを評価することでした。また、知能の側面と創造的能力を予測する全脳機能的接続ネットワークをモデリングし、これらの予測ネットワークが脳内でどの程度重複しているかを定量化することも目標でした。

研究では、構造方程式モデリングを用いて、知能の側面と創造的能力の間に中程度から大きな相関が存在することを発見しました。また、一般的な知能と創造的能力の間には大きな相関(r = .63)があることも判明しました。この研究は、知能と創造的思考が同様の認知および神経システムに依存している可能性を示唆しています。

次に項目2のレビューに移りますか、それともこの項目に関してさらに詳細な情報が必要ですか?


レビューに対する質問

レビュー内容について不明点があったので質問をしてみると、回答を得ることができました。これにより、レビュー内容に対する理解がより深まります。

レビューのなかで出てきた、「流動性知能」や「結晶性知能」という用語について把握したく、説明を求めてみました。

●User:
質問です。 流動性知能や結晶性知能について、解説してもらえますか?

○ChatGPT/ScholarAI:
もちろん、流動性知能と結晶性知能について解説いたします。

流動性知能
定義: 流動性知能は、新しい問題を解決する能力や、新しい情報を学習し、処理する能力を指します。
特徴: この能力は、過去の経験や学習に依存せず、柔軟な思考や抽象的な推論、パターン認識に関連しています。
重要性: 流動性知能は特に、新しい状況や未知の問題に直面した際に重要とされ、その人の学習能力や適応能力を示します。

結晶性知能
定義: 結晶性知能は、経験や教育を通じて蓄積された知識やスキルの使用を指します。
特徴: 語彙、一般知識、専門知識など、学習された事実や手順に関連しています。
重要性: 結晶性知能は、過去の学習や経験を活用して新しい状況に適応する能力を反映しており、教育や文化的背景と密接に関連しています。

これら二つの知能の違いは、一つが新しい情報の処理に関連し、もう一つが既存の知識の応用に関連していることにあります。また、これらは年齢と共に異なる方法で変化することが知られています。たとえば、流動性知能は若年期にピークに達し、年齢とともに減少する傾向がありますが、結晶性知能は年齢とともに増加することが一般的です。


おわりに

以上のように、論文をレビューするフォーマット(プロンプト内では、フレームワークと定義)を ScholarAI に与えることで、各項目ごとに分けてレビューをしてもらいました。
また、概説レビューと詳細レビューに分けることで、段階的レビューをしてもらい、前提となる知識を持っていなくとも内容をある程度理解できました。

なお、ScholarAI によって和訳・要約しているものなので、論文の内容を完全に正しく書き表していない部分も含まれています。論文の内容をおおそよ把握することで知識としてインプットし、自身の今後の学習のきっかけとして位置づけるのがよいかなと思います。


Appendix

ScholarAI によるレビューの結果を全て示しますので、ご参考まで。

項目1: どんなもの?

概説レビュー:
この論文は、知能と創造性が異なる能力なのか、または同じ認知・神経システムに依存しているのかを探求しています。
研究では、若年成人のサンプル(N = 186)を使用し、知能と創造的思考タスクのバッテリーを完了しました。
目的は、知能(例えば、流動性と結晶化知能)の特定の側面と創造的能力(すなわち、発散的思考の独創性)への寄与を評価することでした。

詳細レビュー:
この論文は、「知能」と「創造性」の間の関係を明らかにすることを目指しています。具体的には、若年成人186人を対象に、知能と創造的思考タスクの様々な側面を評価し、これらの能力がどの程度重なっているかを調査しています。研究の主な分析目標は、知能の特定の側面(例えば、流動性と結晶化知能)と一般的な知能が創造的能力(すなわち、発散的思考の独創性)にどのように寄与するかを評価することでした。また、知能の側面と創造的能力を予測する全脳機能的接続ネットワークをモデリングし、これらの予測ネットワークが脳内でどの程度重複しているかを定量化することも目標でした。

研究では、構造方程式モデリングを用いて、知能の側面と創造的能力の間に中程度から大きな相関が存在することを発見しました。また、一般的な知能と創造的能力の間には大きな相関(r = .63)があることも判明しました。この研究は、知能と創造的思考が同様の認知および神経システムに依存している可能性を示唆しています。

項目2: 先行研究と比べてどこがすごい?

概説レビュー:
この論文は、知能と創造性の関係を機能的脳ネットワークの予測を通じて探求しています。
先行研究とは異なり、構造方程式モデリングと機械学習を組み合わせたアプローチを採用しています。
知能の特定の側面と創造的能力がどの程度重複しているかを定量的に評価しました。

詳細レビュー:
この研究の特筆すべき点は、知能と創造性の関係を理解するために、従来の心理測定研究に加えて、機能的脳イメージングデータを利用した点です。具体的には、構造方程式モデリングと機械学習技術を組み合わせることで、知能の特定の側面(例えば、流動性と結晶化知能)と創造的能力の間の関係を評価しています。これは、先行研究が主に心理測定に依存していたのに対し、脳の機能的接続ネットワークを直接的に調査する新しいアプローチです。

研究では、知能の側面と創造的能力を予測する脳の機能的接続ネットワークの重複を定量化しました。特に、知能を予測するネットワークと創造的能力を予測するネットワークの間には、実行制御ネットワークの前頭前野領域内で顕著な重複が見られました。これは、知能と創造的思考が類似した神経および認知システムに依存している可能性を示唆しています。

項目3: 技術や手法のキモはどこ?

概説レビュー:
構造方程式モデリングと機械学習を使用して、知能と創造性の関係を分析しました。
機能的脳イメージングデータを活用して、知能と創造性の認知・神経的基盤を探求しています。
知能の特定の側面と創造的能力を予測するために、全脳機能的接続ネットワークをモデリングしました。

詳細レビュー:
この研究の中核となる技術や手法は、知能と創造性の関係を理解するために構造方程式モデリングと機械学習を組み合わせた点です。まず、構造方程式モデリングを用いて、知能の特定の側面(例えば、流動性と結晶化知能)と創造的能力の間の相関を定量的に評価しました。このアプローチは、これらの認知的能力の間の関連性を理解するための基礎を提供します。

次に、機能的脳イメージングデータを活用し、知能の特定の側面と創造的能力を予測するための全脳機能的接続ネットワークをモデリングしました。ここでの重要な点は、知能と創造性の認知・神経的基盤を探求するために、脳内の機能的な接続性を詳細に分析したことです。この機械学習に基づくアプローチは、特定の脳領域やネットワークが知能と創造性の両方にどのように関与しているかを明らかにしました。

項目4: どうやって有効だと検証した?

概説レビュー:
構造方程式モデリングを使用して、知能の側面と創造的能力の相関を評価しました。
機能的脳イメージングデータを用いて、知能と創造性を予測する脳のネットワークを分析しました。
知能と創造性の予測ネットワークがどの程度重複しているかを定量化しました。

詳細レビュー:

この研究では、知能と創造性の関係を有効に検証するために、構造方程式モデリングと機能的脳イメージングデータの分析を行いました。

最初に、構造方程式モデリングを使用して、流動性や結晶化知能などの知能の特定の側面と創造的能力(発散的思考の独創性)の間の相関を評価しました。これにより、知能の異なる側面が創造性にどのように関連しているかを理解することができました。

次に、機能的脳イメージングデータを分析し、知能の側面と創造的能力を予測する脳の機能的接続ネットワークをモデリングしました。この分析では、知能と創造性を予測するネットワークが脳内でどの程度重複しているかを定量化しました。特に、実行制御ネットワーク内の前頭前野領域での重複に焦点を当てました。

これらの手法を組み合わせることで、知能と創造性が共有する認知的および神経的基盤をより深く理解することができました。

項目5: 得られた示唆は?

概説レビュー:
知能と創造性は、認知的および神経的な基盤を共有していることが示されました。
特に、実行制御ネットワーク内の前頭前野領域において、知能と創造性の重複が顕著でした。
これらの知見は、知能と創造性の関係を理解するための新たな視点を提供します。

詳細レビュー:

この研究から得られた主要な示唆は、知能と創造性が認知的および神経的な基盤を多く共有しているということです。具体的には、知能を予測する脳の機能的接続ネットワークと創造的能力を予測するネットワークが、特に実行制御ネットワークの前頭前野領域で重複していることが明らかになりました。この重複は、知能と創造性の認知プロセスが共通の神経基盤を持つことを示唆しています。

この知見は、知能と創造性がお互いに影響を与え合っている可能性を示唆しています。知能の高い人は創造的な思考にも優れている可能性があり、逆もまた然りです。また、この研究は、創造的な思考や知能の向上を目指す際に、神経科学の観点からアプローチすることの重要性を強調しています。

この研究から得られた示唆は、教育や心理学、脳科学において、知能と創造性の発達やトレーニングを考える上で重要な意味を持つと言えます。

項目6: 議論はある?

概説レビュー:
知能と創造性の共通の神経基盤について、さらに研究する必要があります。
どのようにして知能と創造性の関係が発達するかについての理解を深めることが重要です。
知能と創造性の関係に影響を与える他の要因(文化的、教育的要因など)についても検討する必要がある。

詳細レビュー:
この研究の結果を踏まえて、さらに追求すべき領域や深堀りすべきポイントはいくつかあります。

まず、知能と創造性が共有する神経基盤に関して、さらなる研究が必要です。特に、異なる年齢層や文化的背景を持つ人々におけるこの関係を探ることが重要でしょう。また、知能と創造性の関係がどのように発達し、時間とともにどのように変化するかを理解することも必要です。

さらに、知能と創造性の関係に影響を与える可能性のある他の要因を考慮することも重要です。たとえば、教育的アプローチ、文化的な違い、社会経済的状況などが、個々の知能や創造性にどのような影響を与えるかを調査することは、この分野の理解を深めるのに役立つでしょう。

最後に、知能と創造性のトレーニング方法に関する研究も、実践的な応用を考慮に入れる上で重要です。この分野のさらなる研究は、教育や職場でのトレーニングプログラムの設計に有益な洞察をもたらす可能性があります。

項目7 はうまくレビューできませんでした。

現在、関連する文献を特定するためのツールに問題が発生しているため、直接的な関連文献の提案ができません。しかし、一般的なガイダンスとして、次のような論文を読むことをお勧めします:
知能と創造性の関係に関する研究:この論文のテーマに関連し、知能と創造性の間の関係をさらに探求する研究。
神経科学と創造性に関する研究:脳の機能的接続性と創造性の関係に焦点を当てた研究。
心理測定に関する研究:知能と創造性の評価方法に関する研究、特に心理測定の方法論に関するもの。
教育心理学における応用研究:知能と創造性の関係を教育や職場のコンテキストでどのように応用できるかに関する研究。

これらのテーマは、今回レビューした論文の内容に基づき、より深い理解や関連する研究を探求するのに役立つでしょう。また、研究の文献レビューセクションや引用文献リストも、関連する文献を探す際の良い出発点になります。


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