映画『JOKER』の放送禁止に、私が断固反対する理由。

映画『JOKER』がお蔵入りの危機に瀕しているという。もちろん、京王線の車内で起こった無差別殺傷事件の影響だ。“みんな大好き”東スポの記事なのでどこまで信憑性があるか分からないが、ジャーナリスト・木村太郎氏までもが『Mr.サンデー』で同様の発言をしているように、事件の影響を受けて、同作品を地上波で放送することに向かい風が吹いていることは間違いない。

もちろん、「『JOKER』は放送すべきではない」と主張する人々の理屈も、理解できないわけではない。今回の事件を起こした服部容疑者が「ジョーカーが人を平気で殺す姿に憧れた」とまで口にしている以上、本作品が今回の事件に及ぼした影響がまったくなかったとは言えないだろう。

だが、「悪影響を及ぼしかねないもの」をすべて禁止にしていったらキリがない。そもそも刑事ドラマでは必ず誰かが殺されるわけだし、いまや犯罪よりも悪であるかのように扱われる不倫を扱ったドラマなどはすべてこの世から抹殺されるべきだ、となる。もっと言えば、今回のように現実に起こった事件をニュース番組やワイドショーで繰り返し放送することこそが、最も“模倣犯”を生み出しやすいという構造も無視してはならないと思う。

と、ここまではネット上でもよく語られる「作品に罪はない」論に近いことを述べてきたが、私はそうした「放送禁止にする必要がない」というトーン以上に強い気持ちで、放送禁止にすべきではないと思っている。それには、私なりに確固たる理由がある。

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