見出し画像

“メダル噛み事件”で、誰も指摘しない河村たかし市長の「決定的な勘違い」。

これほどまでに擁護の声が少しも上がらない炎上案件も珍しいように思う。河村たかし名古屋市長の件だ。

激闘の末に13年ぶりの金メダルを獲得したソフトボール日本代表。投手として大車輪の活躍を見せた後藤希友選手が、河村市長を表敬訪問した。金メダルを首にかけてもらった市長は「重たいな」とひと言つぶやくと、突然マスクを外して、ガブッとメダルを噛んでみせた。メダルの所有者である後藤選手の了解を取ることもなく行われた非常識なパフォーマンスだった。

この件が報じられると、ネット上では一斉に批判が噴出した。大きく分けると、批判されているポイントは3点ある。

1.選手に対する敬意が欠けている。

オリンピックで金メダルを獲得することが、どれほど尊いことか。まともな想像力を持ち合わせていればわかりそうなものだ。そこに至るまで、尋常ならざる努力と忍耐の日々を重ねてきたことは容易に想像ができる。そうした努力が身を結んだ証として与えられるのが金メダルなのだ。

その金メダルを相手の許可なく自分の口に入れる行為が、物理的にだけでなく、精神的にもいかに汚らわしいことであるかは、河村市長以外の人間には理解できていたということだろう。


2.衛生面への配慮が欠けている。

言わずと知れたコロナ禍である。今回はオリンピックの表彰式でも、感染対策としてメダル授与はプレゼンターが選手の首にメダルをかける従来のスタイルではなく、選手みずからトレーに置かれたメダルを取って自分の首にかける方式を取っている。

もちろんオリンピックだけでなく、コロナ禍においては社会のあらゆる場面で“接触”を避ける配慮がなされている。にもかかわらず、他人のメダルを口に入れるという行為がいかに感染対策に反することであるかは、河村市長以外の人間には理解できていたということだろう。


3.謝罪コメントに誠意が感じられない。

「最大の愛情表現だった。迷惑を掛けているのであれば、ごめんなさい」

考えうる限り、最悪の謝罪コメントと言ってもいい。河村市長のみならず、名古屋市役所がまともに機能しているのかさえ疑いたくなってしまうレベルだ。「最大の愛情表現だった」というのはセクハラ加害者が口にするコメントと酷似しているし、「迷惑を掛けているのであれば」というエクスキューズは「自分はそうは思っていないけれど」という意思表示となってしまう。

後藤選手が所属するトヨタ自動車に謝罪文を提出しに行ったものの、「僕はちょっと離れて。行きましたけど、どういうのか、車の中からお詫びしときました」というコメントも、見事に火に油を注いでしまっている。


この3点がすでにネット上で指摘されている河村市長の“落ち度”だが、私はここまで指摘されていない河村市長の「決定的な勘違い」が最大の問題だと思っている。

          ------✂------

ここから先は有料公開となります。

個別の記事を数百円ずつご購入いただくよりも、定期購読マガジン(月額1,000円)をご購読いただくほうが圧倒的にお得となります。

月の途中からご購読いただいても、当該月の記事はすべて読めるようになっているので、安心してご登録ください。

記事の更新はみなさんからのサポートに支えられています。ぜひ、この機にご登録をお願いします!

「乙武洋匡の七転び八起き」
https://note.com/h_ototake/m/m9d2115c70116

ここから先は

1,109字

¥ 300

みなさんからサポートをいただけると、「ああ、伝わったんだな」「書いてよかったな」と、しみじみ感じます。いつも本当にありがとうございます。