連載小説『ヒゲとナプキン』 #18
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「もう、誰よ。こんな時間に……」
生まれて三カ月のマコトに授乳を済ませ、ようやく母子ともにまどろみかけていたところに、静寂を破るチャイム。コズエが壁時計に目をやると、まだ午前十一時だった。眠りの入り口にいたマコトを抱きかかえたままソファから立ち上がり、インターホンを取る。画面に映る顔を見て、コズエは思わず驚きの声をあげた。
「なんだ、イツキじゃない。どうしたの?」
オートロックを解錠すると、一分も経たないうちに玄関のチャイムが鳴った。ドアを開ける