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泣き続けた1年生の真相


宿題のプリント。
学童でやってくるから、急いでいるのかな?
ちゃんと書けてはいる。だけど、字が踊っていて、いまいち整っていない。これきっと先生に直されるやつ。

帰ってきて、リラックスし、ゲームをやってる息子に、声をかけ、プリントの直しをさせる。

ただでさえ、ゲームを中断されて、嫌な気分の上に、書き直しだなんて、
毎回、息子は、ちょい泣く。
学校で疲れてきた。お母さんに直せと否定もされた。
そのストレスだと思って、泣くのは納得していた私。

だが、今日は泣き止まない。
小学生1年生が、まぁまぁの時間30分以上は泣いていただろうか、泣き止まない。

何を聞いても、ヒックヒック、泣いた際の痙攣のような感じで首が上下に揺れてるから、
なんで泣いてるの?嫌なの?疲れたの?などという母さんの問いに答えてるんだか、ただ泣いてるんだかの判断がつかないくらい、
首が上下に動いていた。

泣いて泣いて、
振り絞って出てきた言葉は、

「やりたくない」

言葉にして言えた彼を私は尊重しようと思った。
わかったよ、やらなくていいよ。
と、言って、彼が持っている鉛筆を取ろうとしたけど、

ギュッと力を入れたまま、鉛筆を持っている。
やめていいんだよ、と伝えても、人差し指の第一関節が反るくらい力を入れたまま握っていた。

私がいるから、泣き止めないのでいるのか?とも思ったので、
長めのトイレに行ってみるも、
鉛筆は、手から離れていたけど、泣き止んではいなかった。

泣いている最中、赤ん坊に戻った時のように、私は彼を抱いていた。
本当は、夕飯の準備をしたかったけど、
夕飯なんてどうにでもなるし、今日は、この子だ!と思って、泣き止むのを一緒に待った。

YesNoで答えられるような質問を投げかける。
疲れた?  首を横に振る「No」
お腹空いた?      「No」
眠い?         「No」
自分でも泣いてる理由が分からない?
            「No」
泣いている理由は分かるの?
首を縦に振った!!「Yes」 ???

       
母さんは、あまりになんで泣いているのか分からなすぎて、誰かに答えを聞きたい気持ちにもなったけど、
この答えを知ってるのは、息子しかいないと、私の頭は混乱しつつも、そんな答えを出していた。

彼のヒックヒック泣き痙攣が止まったのをキッカケに、またYesNoで答えられるような質問を投げかけた。

さて、真相は、こうだった。

今日のプリントの直しは、
問題中の文字と、彼の名前だった。

問題中の字は、一度消して、書き直せば、見本を見るわけでもなく、
「ぬ」も「あ」も、ふにゃふにゃに踊ることなく、バランスをとって書くことが出来た。

さて、「自分の名前」が問題だった。
両面にプリントされた宿題の中でさえ、自分の名前を3回も書く箇所がある。
上手く書けてる字もあれば、
何度もポイントを伝えているのに、全くそのポイントを無視をして、踊っていたり、不恰好になっていたりしている。

学校でも、何度も何度も書かされ、一番多く書いている、たった数文字の自分の名前でさえ、書くの嫌になってしまう気持ちも分かるよ。

だけど、
あなたの名前は、お父さんとお母さんからの1番最初のプレゼントなんだから、大事にして欲しいことを伝えている。
今日も言った。
むしろ、自分の名前だけでいい、丁寧に上手に、書けるようになって欲しい。
それが、母さんからのギフトでもあるから、と伝えた。
母さんが死んでも、残る物になると思っているから、と。

だけど、簡単な字ほど、どうしても踊ってしまう。違う字になる。「う」が「つ」になる。
何度も書きなくないし、書けなくなってる。ポイントを言っても、やりたくない!が勝って、耳に入っていない。
やりたくない、やりたくない、、、、

だけど、お母さんが言ってるように、自分の名前を大事にしたい、でも出来ない自分、、、

そう思うと涙が止まらなかったらしい。

真相が分かった時には、もうお風呂の時間になりそうだった。連日疲れている息子に沢山の睡眠時間を確保するには、早くベッドに行かせるため、早くお風呂も入りたかった。

だけど、あなたの優しい気持ちと、誠実さが伝わった今日の出来事だった。

自分の名前。こんなところに重きを置かなくともいい。と夫に言われるかもしれないと思いながらも、この出来事を伝えると、、、
「(妻の名前)が、思うなら、それでいい」
そう、私の考えを尊重してくれて、ありがとう。

ばばが、突然、死んだ今年の幕開けだったけれども、、、

家族よ、
今日も、生きていてくれて、ありがとう。
生まれてきてくれて、ありがとう。

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