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HSP的会社との向き合い方~規則から会社の本音を探ろう~

HSPは、どうしても会社の中でマイノリティになってしまう。
人間関係も、仕事の要求もどんどん厳しくなる。
過重労働、ハラスメントなど職場環境も最悪。
こんな中でも何とか自分の特徴を出して、仕事を続けていきたい。
今回は、HSPの方のための会社との向き合い方について考えてみます。

HSPとは、「とても敏感な人」の意味です。詳しくはこちらに書いています。

HSPの皆さんは、職場環境や人間関係などに大きく左右されてしまいます。
細やかな観察眼や細やかな応対など、HSPの長所を評価される前に実績をあげれられず自信を失ってしまいがちです。

それではこの状況を打破するため、自分をいつわり無理をする。
周囲に不満をぶつけたり、無理してでもアピールすることが良いことなのでしょうか?
一番まずいのは、溜まった怒りの感情を元に会社と正面からぶつかり対立することです。いわゆる「キレてしまう」ことです。
これまでの不満を、そのまま会社にぶつけて闘ってはいけない。
すぐに会社に厄介者扱いのレッテルを貼られ、排除されてしまうのがオチです。

ただでさえ閉鎖的な日本の集団は、集団が気に入らない人を排除する方向に向かいます。
マイノリティは自然に排除される方向に向かうのです。それを回避する必要があるのです。
だからHSPの皆さんに必要なのは、会社にHSPの特徴が活かせる独自のポジションを見つけ出すことです。

■会社におけるHSP独自のポジションとは?

それでは、HSP独自のポジションとはいったい何でしょうか?
それは『会社に貢献しているが、譲れない一線をもち、それを譲らない人』です。つまり、愚直に働くが会社の都合に振り回されない人です。
会社の言うことを鵜呑みにせず、自分の意志で行動する人です。
会社から見ると、「貢献してくれて頼りになるが、都合良く使おうとすると大変なことになる」人をいいます。
悪く言えば「我が道を行く融通の利かない人」なのですが、それでいいのです。
HSPの方にありがちな「つい流されて都合のいい使われ方をしてしまう」を回避するひとつの方法なのです。

HSPの方はつい、「会社に貢献出来ていない」と考えてしまい、何でもかんでも受け入れようとします。
そうするとどんどん色々なことを頼まれて、いっぱいいっぱいになり失敗してしまい自信を失います。
これは悪循環です。それを回避するために一線を引くことが大切なのです。

そのためには、「信じる」ことが必要です。
ひとつが会社に貢献出来る「自分を信じる」こと。
もうひとつが「会社を信じる」ことです。

自分自身のスキルや能力を信じ、そして会社を信じて、誠実に、そして愚直に仕事に取り組むのです。
そうすれば自分に譲れない考え方、一線ができます。
その一線を大切にすることで、周囲から評価される独自のポジションがつくれるのです。

順番は、まず「会社を信じる」ことから始めます。
会社が信じるに値するかどうかを判断するのです。
会社を信じられれば、自然に自分を信じることが出来ます。
自分を信じることが出来れば、会社に対しても対等に要求することが出来るようになります。
だから会社を選ぶこと、会社を信じることは大事なのです。
次に、この重要な「会社の信じ方」について考えてみたいと思います。

■会社の信じ方(会社の本音を探る)

会社を信じるためには、まず会社のことを深く知る必要があります。
就職活動をしている時は、様々な方法で会社のことを調べますよね。
何をする会社か、働きやすい会社か?
会社もPRとしていろいろな情報を出しています。会社のトップが語る言葉もあります。それらを一心に見て、想像を膨らませます。

こういった情報収集を、入社後も引き続きするのです。
情報を集めて、その情報から浮かび上がる会社の本音を探るのです。
会社に入ってから「そんなはずではなかった」と感じることもあると思います。その感覚が実際本当なのかそうでないのか?
それも会社の本音を知ることで分かってきます。

それでは会社の本音を知るために、具体的に何をすればいいのでしょうか?

まずは、会社の規則を確認することです。
会社の規則、「就業規則」というものがあります。
これは会社の基本的なルールが書かれたものです。
従業員と会社との働く上での約束事は、入社時に渡される「労働条件通知書」とこの就業規則により定められています。
これらに書かれていることを従業員は守らなければならない。
逆に書かれていないことは会社は一方的に従業員に求められないのです。

会社の就業規則は、従業員が誰でも見ることが出来るように備え置かなければいけません。いったいどこに置いてあるのでしょうか?
PCにデータとして入っているのでしょうか?上司や総務の担当者に聞いてみましょう。
ここでひとつ会社の本音が浮き彫りになります。
すぐに場所を教えてくれましたか?
何かと理由をつけてすぐに見せてくれなかったですか?

見せてくれない会社は、何かしら問題があります。
単なる総務担当者、上司の無知という可能性もあります。
しかし、それを放置している会社は大いに問題があります。

もしかして会社は規則を従業員が見て、書かれている権利を声高に主張されては困ると思っているかもしれません。
法令に則ってつくった規則を見られたくないと思っているのでしょうか?
確かに会社の視点からいえば、法令遵守と経営の安定との狭間で難しい舵取りを強いられているともいえます。
法令を守り、労働者の権利に配慮すればするほど、経営は不安定になると思っているかもしれません。
しかし、法令が守れないのなら安易に人を雇うべきではありません。法令という最低限のルールは守らないといけないのです。

だから就業規則を見せたくない会社は、体面を重視し法令を守るための形だけ規則を作っているが、書かれている制度を利用してほしくないと思っている可能性があります。
こういったところで、会社の本音を確認する事が出来ます。

次に見せてもらった就業規則をしっかりと確認しましょう。
自分の知らなかった制度、例えば休暇制度や手当などがありませんか?
それらが従業員に与えられた権利です。
もし知らなかった制度が就業規則にあれば、受けられるべき恩恵を知らなかったということです。しっかりと確認しましょう。

もうひとつ労働条件通知書という書類があります。「雇用契約書」など会社によって名称が違うこともありますが、自分の労働条件を明記した書類のことで、入社時や契約の更新時にもらえるものです。
この労働条件通知書には、自分のすべき仕事、勤務場所、賃金、勤務時間、休暇などが書かれています。
もしそれが変更になる場合には、必ず本人に新しい条件を書いた書面を交付しないといけないことになっています。
もしもらえていない場合には、必ず書類の交付を求めましょう。

仮に交付されていないということは、先ほどの就業規則と同様です。
何かやましいことがあるのではと疑われても仕方がありません。

こういった従業員の権利をうやむやにしながら、成果だけ求める会社は多いのです。
成果を求める以上、社員に対する報いは会社が自ら作った規則に沿って行うのがべきですが、そういう会社ばかりではありません。

これらを確認していく中で、会社の本音が見えてきます。
本当に社員のことを考えているのか、そうではないのか。

就業規則に社員を縛ることばかり沢山書いている会社があります。
「遵守事項」などと称して、社員が守るべき事項を事細かく書いている。
まるで学校の校則のようです。
そういった会社は社員が受けることができる権利については簡単に、形式的にしか書いていません。
これも会社の本音です。

社員を単なる労働力やコスト(費用)と考えていれば、いかにして社員を安く雇い効率的に使うかを考える。
一方で社員を戦力または資産と考えていれば、長期的に視点で育てることを考えるはずです。
会社とコミュニケーションをとる中で、会社がそのどちらなのか、姿勢を見極めることが出来ます。

もし、会社の本音が社員を資産と考えていると分かれば、会社を信じることができます。
それに報いることを日々真剣に考え、愚直に仕事に励みましょう。

しかし会社の本音がそうでないと分かったならば、無理に会社に留まるべきではありません。
何故なら会社を信じられなければ、自分を信じることが出来ないからです。
気持ちを入れて仕事が出来ません。
それでは疲弊して最終的に壊れてしまうだけです。
会社から離れることを考えましょう。

私が伝えたいのは、自分に与えられた権利をどんどん会社に要求しなさいということではありません。
当然会社にも制約があります。
その制約を従業員も考慮する必要はあります。
しかし、情報や権限など会社と従業員との間の力の差が厳然とあるのです。
その中で、従業員は会社の力の下に押さえつけられてしまいがちです。
本来会社と従業員は契約関係であり、従業員が当然に得られる権利がある。
それを会社は正面から受け止めているのか?
そこから、会社が本当に信ずるに値するのかを確認するのです。

■まとめ

今回はHSPの会社との向き合い方、特に会社の本音を探る方法について考えてみました。
会社の本音を探る目的は、会社を信じることが出来るかどうかにつきます。信じることが出来れば、自分を信じ、会社に貢献しようという気持ちになるからです。
会社の本音というのは、従業員をどう思っているかです。人として見ているのか?単なる労働力と見ているのか?

当初は従業員を人として見ていたけれど、月日が経つにつれ単なる労働力としてしか見なくなったということがあるかもしれません。
その原因は様々ありますが、多くは組織、集団の中の馴れ合いから生まれています。

その意味でも会社には健全な緊張感が必要です。
集団は馴れ合いになると必ず腐ります。
組織の構成員のことを考えず、自分の利益のことを優先してしまいます。
経営者、幹部、管理職、従業員など個人にもいえます。
会社を始めたとき、入社したとき、昇進したときの気持ちはそうではなかったのに、慣れが生じたとたんに周囲への感謝を忘れてしまう。
横柄になり、人を平気で傷つけてしまう。それが原因で足下をすくわれてしまうのです。

だから、時には外部から刺激を受け健全な緊張感をもって仕事をするのが一番良いのです。
そんな時に役に立つのが会社が対外的に表明しているルールです。
都合が悪くてもそのルールを正面から否定する訳にはいかない。
それを使うのです。
ルールと内部の事情との狭間で緊張感をもちながら仕事をするのです。

そして、そのルールを会社がどのように扱っているか。
これが会社の本音を探るリトマス試験紙となるのです。

会社が本当に信じるに値するのか?
そこを意識しながら会社と向き合ってみてください。
それが会社と対等な関係を築く第一歩になると思います。

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