弓道をやるうえで、弓道の練習以前に知っておきたい事② ~「主観」と「客観」のオハナシ~

前回の記事で、

・弓道は完全に物理現象
・「目的」は、弓がブレず受けずに、矢を飛ばすことです。
・八節も、それを詳説した教本も、あくまで「手段」です。
・「目的」を見失わずに「手段」を身に付けましょう!!

こんなことをお伝えしました。


ここまでが理解できたら、「手段」である『合理的な射型』を、上達させましょう!

…と、なるのですが…

的前で矢数をかけたり、動画を見たり本を読んだり、コーチに指導を受けたり…
皆さん、こうやって『合理的な射型』を探していきますよね。


そして、思い通りの形にならなくて、思い通りの感覚にならなくて、苦しい練習をしていきます。


なぜでしょう?大学のスター選手みたいにスッキリした会、形だけなら出来そうなものですが、そんな「単純なこと」ですら出来ない。

この理由を「主観」と「客観」という言葉を用いて解説します。

私が伝える話の中で、恐らく一番重要な内容です。
全スポーツに共通します。それどころか、人間関係、コミュニケーションにも繋がる話です。

また、私はこれらを重視して指導を行います(伝える時も聞く時も)
重要だとご理解の上、読み進めてみてください!!



●体は、思っているほど自由には動かない

言葉で説明をされ、動画などでお手本も見れて、目指したい形のビジョンは持ち易いのに、体はその形になってくれないものです。


そこで、知っておきたい事。


この、意に反して不自由な体のコントロールについて。
「体を動かす技術を高める」ためには何が必要か?


体はどうやって動かされていますか?
説明できないはずです。感覚で動かしているから。

ある形をイメージして感覚的に体を動かしてみましょう。
理想の会でも、普段の会でも、グリコのポーズでも良いです(笑)

それを鏡で見ると、動画で撮ると…

思ったゴールの形になっていないことがあります。


この、イメージして動かした感覚の部分が「主観」
鏡や動画で見た形の部分を「客観」
このように分けて、私は表現しています。

イメージして動かしたのに、思った形が出来ていない
=主観と客観が一致していない、ということになります。


この、「主観と客観の不一致」を、超分かりやすく示し、そして修正に成功している、武井壮とタモリの動画をご紹介します。


(参考)https://youtu.be/3y7g43uYyOM
(ちょうど4分あたりからの流れ)

タモリは、「主観」で形を作りますが、「客観」はずれてしまいます。
武井壮が「客観」を修正し、それを「主観」で理解したタモリは、リトライして、「主観」と「客観」が近付きます。


これ、弓道場でよく見かけませんか?
指導者が触って修正して、選手が上達する…
まさに、いつもやっていることです。


「主観」と「客観」の不一致を自覚して、不一致を限りなく修正していき、常に自分の体を思う形に出来るようにする。

体作りとこのトレーニングに時間を使えば、上手い人を真似するだけで、どんなスポーツも最高に習得が早くなる。
これを提唱しているのが武井壮の運動論の概要です。


大切さが少しは伝わりましたでしょうか。
運動は、体を動かすものです。
体は、感覚で動かします。
であれば、その感覚を磨くべきなのは当然ですよね。

長く調子を落とさない選手になるために、必須です。
理解を深めて、大切にしてください。


(応用)指導の受け方

述べた通り、「主観」と「客観」を分けて考えて、そして一致させる事はとても大切です。

ところが、残念ながらこれらを分けて伝えられる指導者はあまりいません。
教本ですら、これらがゴチャ混ぜになっています。

これを読んでいただいた方には、指導者が「主観」「客観」どちらの助言をしているのか、よくよく分けて考えるようにしてください。

聞き手がこれを誤認すれば、たちまち間違った指導に変わります。

無駄な遠回りをしないために…
言葉の受け手、聞き手側が出来ることです、特に強く意識して下さい。


いくつか例を挙げます。

●客観指導パターン
打ち起こしが低いと言われたら、客観の指導。
⇒客観を修正しながら主観を掴めばよい。
(これは簡単)

●主観指導パターン
下筋を伸ばす様に、と言われたら、それは指導者の主観。
⇒なぜそういう主観を指導するのか、課題に当たる客観の問題点が無い。これを理解する必要がある。

たとえば、押手肩が抜けたり上がったりするから、「引き分けで下筋を使って押せ」と言われているかもしれない。
であれば、肩の形を修正すればよくて、修正の主観的な方法の1案として「下筋を使う」が登場することになる。


指導者の主観的指導が、客観的などんな現象をさしているのか?
それを理解したうえで、その客観を修正するための主観の1例として、指導を聞くようにしてください。

主観は個人差がとてもあります。
私の主観では、押さない方が押せます。
他人の主観は、あくまで案として聞くようにしましょう。

●客観に見える主観パターン(危険)
勝手の親指を的に向けろ、と言われたら…
これは実は主観なんですよ。

実際に親指が的を向いたらどうなります?
弦が持てないですよね、即暴発します。
形の修正を求める表現ですが、これは主観。
確かに、親指の付け根で弦を支えると、的を向いてるような感覚になります。

これ系、特に古書に多いので読むときや、それをなぞったような指導を受けたときは、よくよく気を付けてください!



長くなりました、終わります。

こうやって、主観と客観を使い分けましょう。
使い分けが出来てくると、指導や知識の吸収率が抜群に上昇するはずです。



「目的」を忘れずに「手段」の体得に臨むこと。
その際には「主観」と「客観」をしっかり区別すること。

以上、「弓道をやる以前に知っておきたいこと」でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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