コモ活シリーズ④---コウモリのスーパー冬眠術(コウモリの基礎知識)
上はヨーロッパのオヒキコウモリ。オヒキコウモリは尻尾があり、翼が細長く、高空を高速で飛ぶ種類。日本では希少種です。コウモリの超音波は通常人間に聞こえませんが、オヒキコウモリのは例外的に人間にも聞こえます。
基礎知識・その6 体温などを自在にあやつる、トーパー
コウモリには体の大きなオオコウモリと小コウモリがいて、オオコウモリは暖かい国や地域に生息します。日本にも沖縄や小笠原に生息していますが、これは世界でも北の生息地です。オオコウモリは冬眠しません。
一方、北半球に生息する小コウモリの多くは冬眠します。
冬は餌になる虫が激減するので、春になるまで冬眠する個体が多いです。
冬眠の時、小コウモリはトーパーと呼ばれる状態になります。
小コウモリは自分の体温と心拍数を下げてエネルギーを抑えることができて
冬の間は外気温と同じくらいまで体温を下げられます。
前に書いたように飛行中の小コウモリの心拍数は、MAXで1000/分という、もの凄い値ですが、それもグーンと下げて非活動モードになる(代謝を抑える)ことで、餌を食べなくてもエネルギーを消費せずに冬を越せます(トーパーは悪天候で狩りができない時なども行います)
冬眠場所はさまざまですが、エネルギーを消費しないように、寒冷な場所が多いようです。北海道には世界でもレアな、雪の中で冬眠するコウモリも、ごく一部にいます(★この記事の最後に動画あり)
鳥の体温は40度以上なので人間よりも寒さに強いですよね。
逆にコウモリは体温をう〜んと下げて寒さに対処します。
動物はそれぞれに、生きるための方法や知恵を持っていますね。
そのかわりコウモリは、冬になるまでにしっかり虫を食べておかないといけません。体に脂肪を十分に蓄えておかないと命に関わります。
冬眠に慣れない新米コウモリの場合は、どのくらい脂肪を蓄えればいいのか見当違いで冬を越せない(冬眠失敗) 残念なケースも、中にはあるそうです(´;ω;`)グスン
スズメも、その年に生まれた子供は冬に餓死する個体が結構多いそうです。
人間と違って、体ひとつで過酷な自然の中で生きる野生動物は、みんな冬を越すのも命がけです。
東京などの都会は冬もそんなに冷え込まないので、近年は冬眠しないコウモリや、短期間しか冬眠しないコウモリも報告されています。
冬眠中は全く起きないわけではなくて、ときどき起きて水を飲んだり、暖かい日は餌を探したりしています。
もし、家の近くにトーパー中のコウモリがいても「具合が悪いのかな?」と
動物病院に持ち込まないで下さいね! 普通の動物病院は、野生動物の診療は
専門じゃないし、ただ寝ていただけのコウモリも困ってしまいます。
コウモリに限らず、野生動物を扱う専門家やケアラーは、特別な訓練や予防接種などを受けていて、知識もあり、万一噛まれた時なども対処できますが、一般人の場合は、怖がったコウモリに噛まれる危険があります。
野生動物にはみだりに触らず、そっとしておきましょう。
※日本では鳥獣保護法でコウモリの捕獲、殺傷、飼育は禁じられています
(研究者の場合でも役所の許認可が必要です)
★雪の中で冬眠する日本のコテングコウモリの貴重な映像★
雪中冬眠する種類は北海道、朝鮮半島と中国の一部にしかいない。超レア。
※記事の内容の転載はお断りいたします。
=======================================================
★どこにも所属しないコウモリ愛好家です。個人的に好きな海外の種類について、親しい海外の専門家に教えてもらいながら調べています。
誤解されがちなコウモリという素晴らしい動物の魅力を広めたくて本を書いたり、ラジオ番組で取り上げたり、ミニ講座で話をしたりしています。専門家や研究者ではないので、分からない点は専門家にも教えて貰っています。コウモリがお好きな方、繋がりませんか? ( ˙ω˙)و グッ!
「コウモリを正しく知ろう、守ろう」