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コモ活シリーズ---空飛ぶ動物の中で地球最速!(コウモリの基礎知識①)

コモ活シリーズとして、コウモリの基礎知識を紹介していきます。お子様にもわかるようにやさしく書いていますが、もちろん大人もどうぞ。
(上は " コウモリ界のジェット機 " メキシコオヒキコウモリ)

基礎知識・その1 コウモリって何の仲間?

コウモリって鳥の仲間?

コウモリは空を飛びますが、頭や顔や体は鳥とは違います。
よーく見てください。コウモリには耳があります。鳥のような羽根や尾羽がありませんね。鳥にはくちばしがありますが、コウモリの口は違います。


下の写真は一応、同じくらいの大きさにしていますが、実際には右のメキシコオヒキコウモリ(地球最速の飛行家)の体長は、たった5~6cmです

コウモリは哺乳類なんです。だから子供は鳥みたいな卵じゃなく、赤ちゃんの姿で生まれて、お母さんは母乳で育てます。
哺乳類にはたくさんの種類があって、サル、ゴリラ、オランウータンは、真主げっ類の、霊長目(れいちょうもく)です。

コウモリは、ローラシア獣類の、翼手目(よくしゅもく)です。
哺乳類の分類では、コウモリは馬に近いとされています。意外ですか?
でもコウモリの中には「ウマヅラコウモリ」という、馬みたいな顔のコウモリもいるので、やはり関係が近いのかな?

ウマヅラコウモリ(海外の種類)

哺乳類には、モモンガやムササビのように木から木へ飛び移る動物もいますが、彼らは飛行しているのではなく、滑空(かっくう)しています。
哺乳類の中で鳥と同等の完全飛行ができる動物は、コウモリだけです。


コウモリは哺乳類全体の約5分の1を占める一大勢力で、1,000種類以上が確認されています(※)  極地を除く世界中に生息しています。
(※)2023年4月現在、1,462種類 (Bat Conservation International)


日本には35種類が生息していて、体の大きいオオコウモリと、体の小さい小コウモリがいます。オオコウモリは果物や植物を食べ、小コウモリは主に虫を食べます
(※)血を吸うコウモリは、外国にごくわずか(3種類のみ)で、人間ではなく牛やニワトリなどの血を少しなめます。


世界のコウモリの70%は虫を食べています。コウモリが血を吸うというのは、ドラキュラ伝説やハリウッドの映画で勝手に作られたイメージです。

★今まで、日本に生息するコウモリが感染症の原因になったことはありません。

(※)海外には、わずかに魚やカエルを主食にするコウモリもいます。


基礎知識・その2 コウモリのふしぎな体と地球最速のスピード飛行


コウモリが他の哺乳類の動物と決定的に違うのは、翼があること。
翼は、鳥のような羽根ではなく、皮膜(ひまく)という、薄い膜でできています。翼には指がついていて、血管が走っています。なので、翼に傷がついても小さな傷なら自然に治ることが多いです。皮膜は柔軟なので、コウモリの飛び方は鳥よりも自由自在でアクロバット的です。

コウモリは気流の変化によって飛行速度が上下するのを感じ取り、翼を羽ばたかせる回数を変えて、一定のスピードと高度を保ちながら飛ぶことができる優れたメカニズムを備えています。

人間と同様に、手の指も足の指も5本ありますが、指の作りは人間とかなり違います。

各部の記載 by私


注目してほしいのが、ひざです。コウモリのひざの関節は、人間と逆向きに曲がって、足の裏が正面を向いています。これは、風の強い時などに、足のところの膜を支えて、ひっくり返らないようにするためです。


コウモリの体はとても軽くて、体重が10グラムない種類がたくさんいます。小さな鳥といえばスズメですが、コウモリはスズメよりもずっと小さくて軽いです。体を軽くすることで速く飛ぶことができて、コウモリの中には、ワシやハヤブサを超える、地球最速のスピード記録を持つ種類もいます(※)

These are the fastest powered flight speeds documented yet in any vertebrate that is, in bats or birds….Peregrine falcons can reach speeds of up to 300 kilometers per hour, but only when diving.

これら(時速160km)はどんなコウモリや鳥の中でも最速のパワーフライト記録です。…ハヤブサは時速300kmを出すことが出来ますが、それは急降下の時だけです。」(テネシー大学、ゲイリー・マクラッケン教授)

FASTEST ANIMALS IN THE SKY
The fastest-flying animal on record is not a bird but a mammal. A 2016 study published in the journal Royal Society Open Science clocked Brazilian free-tailed bats (Tadarida brasiliensis) flying up to 44.5 meters per second, or 100 mph (160 km/h). The study tracked female bats that weighed around just 0.4 ounce (11 to 12 grams).

記録された最速の飛ぶ動物は鳥ではなく哺乳類です。2016年に刊行された Royal Society Open ScienceでBrazilian free-tailed bats(メキシコオヒキコウモリの別名)が秒速44.5m、時速160kmで飛んだのを計測しました。 それは体重11〜12gのメスコウモリでした。( 出典)


ちなみに、一般的に飛ぶのが速いといわれる種類の鳥の水平飛行の時速は、平均112kmです。メキシコオヒキコウモリがどれだけ速いか、わかりますね。ちなみにメキシコオヒキコウモリは、世界の全コウモリ種の中で最も高空を高速で飛ぶ種類で、別名 " コウモリ界のジェット機 ” です。


またコウモリの中には、たった10グラム未満の小さな体で、渡り鳥も真っ青の、海を超えて別の大陸に超長距離移動する種類もいます。びっくり!
さらに小コウモリの中には、なんと1秒に200回、咽筋(ノドの筋肉)を動かすことができる種も。1秒に200回! これは他のどんな哺乳類もかなわない最強の筋肉運動です。彼らはたった数センチ、数グラムの体でそれらをやってのけます。シートンが「進化の最高傑作」と讃えた理由です。


上の写真のコウモリは、ウサギみたいな耳の「ウサギコウモリ」ですが、コウモリの耳には、いろんな形があります。顔も、いろんな顔のがいます。ちょっと変わった顔の種類もいますが、多くのコウモリは、つぶらな瞳で、とても可愛い顔をしています。体もモフモフ❤ですよ。

(※) Mexican free-tailed bat(別名:Brazilian free-tailed bat) 水平飛行時の記録 時速160km

※記事の内容の無断転載はお断りいたします。

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★どこにも所属しないコウモリ愛好家です。個人的に好きな海外の種類について、海外の専門家に教えてもらいながら調べています。
誤解されがちなコウモリという素晴らしい動物の魅力を広めたくて本を書いたり、ラジオ番組で取り上げたり、ミニ講座で話をしたりしています。専門家や研究者ではないので、分からない点は専門家にも教えて貰っています。コウモリがお好きな方、繋がりませんか? 
「コウモリを正しく知ろう、守ろう」    
    

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