【音楽の話】#5 転回と代理コード
さてここで、メロディーとコードの関係ですが、どんな響きでも作者の感性ですから何の縛りもありません。しかし、それなりに気持ちよく聴こえるためには、
・メロディーは基本的に音階で使われる音だけを使っている
・メロディーの長めに(多めに)響く音はコードの構成音を使っている
を守っている必要があります。
なので音階とコードまでわかればフィーリングで作曲することは可能だと思います。でもやっぱり気持ちいいコード進行とか、基本というか定石みたいなものは知りたいですよね。
コード進行を知るためにはまず、代理コードについて知っているほうが説明しやすいので、ここから入ります。今回は言葉の意味だけ理解できればOKです。
コードの転回
例えばコードCの構成音はドミソ。ミソドでもソドミでもCになります。しかし厳密には響きが違います。
特に楽曲中の最低音は、あまり派手に高低に動かないほうが安定して聞こえるのでルート音(コード名になっている音)以外の音を一番低い音に持ってきたいこともあります。
これは4和音でも同じことです。例えばCM7はドミソシ、ミソシド、ソシドミ、シドミソと4通りの響きがあります。
分数コード
となると、コードが転回したことを表現できる方法も必要です。もちろん、コードだけで転回まで書いていない楽譜もたくさんあります。日本では転回の回数をコードの横に書く方法もあるようですが、一般的ではありません。
上記にもある通り、大事なのは最低音です。そこでコードと最低音を同時に記載する方法があります。コード/最低音で表記します。つまりミソドならC/Eと表記します。これを分数コード(もしくはオンコード)と言います。
さらに、分数コードでは最低音が必ずしもコードの構成音でなくても良いことになっています。まあ、分数コードを使いこなす必要はないと思いますが、そういうもんだと知っていて読めると楽曲の再現性は上がります。
代理コード
すでに予想がついていると思いますが、コードを転回すると似ているコードが出てきますよね。
例えば、ラドミ(Am)の転回系であるドミラは、ドミソ(C)と1音だけが1度違う似ている和音です。
構成音が違うので当然響きは変わります。しかし、コード進行の中で代替として流れを壊さず使える場合があるので、これを代理コードといいます。
流れの中で替わりに使える、というのは感覚的なものでもあるので厳密に代理コードを規定することはできませんが、そういうものだと言葉の意味を理解してください。
当然4和音の代理コードもあります。4和音の場合は転回系だけでなく、ルート音の違うほかの3和音のコードを含んでいる場合も代理コードになれます。
ここで西洋音階に乗っている3和音の代理コードの関係を紹介します。
Ⅰの代理コード:Ⅲm、Ⅵm
Ⅳの代理コード:Ⅱm
Ⅴの代理コード:Ⅶm
(Ⅶmの5度の音は音階に乗ってないので注意)
これがこの先のコード進行のアレンジの基本になります。
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