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おすすめボードゲーム「宝石の煌き(Splendor)」攻略・戦略・コツ紹介――初心者から上級者まで


※2019年7月3日、たまたま記事公開1周年の日に大幅に修正しました。なんだかんだ1年以上ぽちぽちやっていますが、未だに戦略上の発見があったりするので本当に楽しいです。


■はじめに

研究室の人たちと、たまにボードゲームをします。
カタン、ハゲタカのえじき、街コロ、ニムト、犯人は踊る、Not My Fault、ゴキブリポーカー、ワードバスケット……。いろいろやってきましたが、僕が一番好きなのは「宝石の煌き(Splendor)」

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ルールは比較的簡単。にもかかわらず、運要素と戦略性がちょうどよいバランスで、これといった決まった最強戦略があるわけではなく、奥が深い。

特に、2人対戦でも3、4人対戦と同じぐらい面白いのが、「宝石の煌き」の良いところ。人数が集まらなくても楽しいのは、カタンや街コロにはないメリットでしょう。
後述するように、むしろ2人対戦のほうが、貴族タイルの重要性が増して面白いのではないかとすら思っています。

特に、スマホアプリはおすすめ。英語版しかありませんので、ルールは日本語で覚えてからやりましょう。
有料アプリとはいえ、ボードゲームを買う10分の1以下の値段で、CPU対戦もオンラインバトルもストーリーモードも遊べるんだから破格の値段。

インストールしてからというもの、全実績解除、オンライン・レーティング・バトルで最高レート1957、ランキング11位に到達するほどハマってしまいました。ただの自慢ですが、はっきり言ってめちゃ強です。

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※なお、将棋やポケモンなどでも使われている「レーティング」ルールについてはこちら

そこで、「宝石の煌き」をほぼほぼやり尽くした僕が、[宝石の煌き 戦略][宝石の煌き 勝ち方]などで検索してこの記事に辿り着いた、初心者から上級者の方々に向けて、コツをお教えしたいと思います。


■簡単なルール説明

目的は、「宝石の煌き」を世に広めることではなくて、1度やったことのある人に向けてコツを紹介することなので、ルール説明は簡単に済ませます。


・勝利条件

①プレイヤーのうち誰かが15点に達したターンに
②一番点数が高いプレイヤーのうち
③保有カードが一番少ないプレイヤーが勝利。

ですから、誰が先攻だったのか覚えておきましょう。


・自ターンにできること

①3色のトークンを1枚ずつ取る
 ⇒トークンは2人対戦だと各4枚、3人対戦だと各5枚、4人対戦だと各7枚(しかし金トークンはいつでも5枚)。手持ちのトークンは10枚までで、それ以上取ると、余分な分だけ場に返します。
②ある色のトークンが4枚以上あるとき、その色のトークンを2枚取る
③場のカードを予約すると同時に黄金トークンを取る
④トークンを消費して場のカードを購入する
 ⇒購入するとき、持っている宝石カードの数だけコストが軽減されます。

なお、指定された色のカードが揃っていれば、ターンの終了時に貴族タイルが取れますが、これはターン消費なし。ちなみに、複数の貴族の条件を満たしていても、1ターンに1枚しか貴族タイルは取ることができません。


■初心者向けのコツ

・宝石を取る回数を減らそう

初めて「宝石の煌き」をプレイすると、レベル1の宝石をジャンジャン購入して貴族を狙いたくなります。
これは、「購入した宝石カードの数だけコストが軽減される」という肝となるルールが、そういう戦略を誘っているから。初見だとそういう作戦を取りたくなるのは仕方がないことです。

しかし実際は、宝石カードを購入する回数は基本、減らした方が勝てます。理由は2つ。

まず第一に、
①プレイヤーのうち誰かが15点に達したターンに
②一番点数が高いプレイヤーのうち
③保有カードが一番少ないプレイヤーが勝利
というルールがあるから。

つまり、宝石カードを多く持っていれば持っているほど、15点に到達するために宝石は取りやすくなるのですが、点数が並んだときに限っては宝石カードが少ないほうが有利なのです。

そして第二に、中盤以降、トークンを3枚取るプレイに比べて、0点宝石を取るプレイのほうが効率が悪いから。というのも、中級者以上のプレイヤーは、4人対戦だと7~9枚、3人対戦だと8~10枚、2人対戦だと9~11枚ぐらいで15点を稼ぐからです。

すなわち、「いま購入した宝石で、あと何コストを軽減できるのか?」と考えてみると、最初に買った宝石カードこそ(適当ですが)6~7コストぐらい軽減してくれるかなという気がしますが、そのカードが将来3コスト以上軽減してくれるのでなければ、レベル1宝石を取るよりもトークンを3つ取った方が断然お得。

しかも、貴族タイルは8~9枚のカードが必要ですから、ようやく獲得した頃には中級者の誰かが勝利しています。したがって、中級者以上が混ざった4人対戦では、貴族タイルはほぼ動かないといっていいでしょう。たまたま長期戦になったときに、たまたま宝石を取っていたら、たまたま貴族が取れた、というときがあるだけ。

たとえば、この記事のために撮った、弱いCPUとの対戦のスクショで恐縮ですが。

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CPUはそれぞれ5点、2点、9点獲得していますが、僕は12点(画面左)。
そして次のターンに、僕が予約済み(画面右下)の青6緑3白3の緑4点を購入すれば、16点で勝利します。

このとき、保有カードは青4枚、緑2枚に緑が1枚足されます(画面下)。
青4緑4貴族タイルがあったので(画面右)、やや狙い気味に動いてはいるのですが、それでも取る前に15点に到達できるわけです。

もちろん、トークンが各4枚しかない2人対戦だと、コスト軽減=宝石の数の重要性が増すので、貴族タイルの重要性も増します。しかしそれでも、必須で狙うほどではありません。


・色に相性があることを知ろう

実は、宝石カードに必要なトークンの色には法則があります。「白赤黒」、「(白)青緑」の組み合わせは、“おおまかに言って”、相性が良いのです(”おおまかに言って”の意味は上級編で解説します)。

たとえばレベル2カードには、白5で黒2点、黒5で赤2点、赤5で白2点のレベル2カードがあります。白黒赤がコストを軽減し合う関係にあります。
また、青5は青2点、緑5は緑2点。つまり、助け合うのではなく自色を伸ばす傾向があります。

10種の貴族タイルの条件色も、割とこの友好色で決まっています。ですから、白3赤3黒3タイルや、青4緑4タイルは、相対的に取りやすいといえます。ただ何度も言うように、わざわざ狙うほどのものではありません。


■中級者向けのコツ

・コスパの良い宝石を取ろう

実は、コストパフォーマンスに優れたカードと、そうでないカードがあります。

たとえば、黒5で赤2点のカードもあれば、黒5白3の赤2点カードもある。どう考えても、白3枚分、前者の方がお得です。こうしたコスパの良いカードを、積極的に狙ったほうがいいでしょう。

狙うべきカード
レベル3:白7の青4点など単色7枚4点カード、黒7白3の白5点など2色5点カード。後者は、最もコスパ良く点が取れるカード2種のうちの1つ。
レベル2:赤6の赤3点など単色6枚3点カード。最もコスパ良く点が取れるカード2種のうちの1つ。また、単色5枚2点カードも重要。
レベル1:コスト3、コスト4で購入できる0点カードは、2人対戦では重要。
わざわざ狙う必要のないカード
レベル3:4色5333の3点カード。上記の単色6枚3点カードと比べると、トークン14枚使って3点しか取れないというコスパの悪さがよく分かります。ゲーム中1番価値がないと言ってもいいレベル。15点にリーチがかかっているときしか狙う意味がない。こればかり場に並んでいる時は、山札のトップを予約する戦略すらアリ。
レベル2:3色332の1点カード。単色4枚1点カードに比べればコスパ2分の1。ただし、322の1点カード同様取りやすいので、中盤に自然と1~2枚取ることにはなるはず。
レベル1:3色311の0点カード。3ターン目に取れる221ならまだしも…という感じ。しかも白3黒1青1の白0点などにいたっては、せっかく貯めた白3枚を使って白宝石を増やすので伸びも悪く、滅多なことがない限り取る必要はありません。


・予約しすぎに注意しよう

3枚までしか予約できない、というルールに注意。

中級者ぐらいになると、相手が狙っている重要カードが分かるようになってくるので、大量得点カードを予約して妨害する戦略が重要になってくるのですが、やりすぎは禁物。
特に4人対戦の場合は、自分の身を削って妨害しているうちに、漁夫の利を得られるともったいないです。

妨害目的で予約したカードは、自分では購入しづらい場合が多いので、ずっとだぶついてしまうことがあります。そのせいで自分がほしい宝石が予約しづらくなると良くない。
特に、予約スロットが満杯なのに保有金トークンが少なくなることに要注意。予約済みのレベル3カードが購入できずにだぶついたまま、金トークンがそれ以上もらえなくなると、身動きがとれなくなります。
したがって、次のターンで絶対に予約済みカードを購入できる、という場合以外は、3枚予約するのは危険。

自分に負担をかけない妨害は、序盤のレベル1カードの予約です。これは、2人対戦時に重要なテクニック。
たとえば、相手が1ターン目に青6の青3点カードを予約したら、こっちは緑2黒2の青0点カードを予約するなど。これなら、予約スロットを比較的圧迫せずに済みます。


■上級者向けのコツ

・相手が欲しがっているトークンを奪おう

良コスパカードを予約するという妨害ではなく、相手が欲しがっているトークンを寡占して妨害するという戦略もあります。
ここで、場のカードのうち相手が何を欲しがっているか予測するだけでなく、相手が予約したカードを覚えることも必要になってきます。

ただし、トークンは一度に10枚しか持てない以上、自分の動きも制限されるので、狙うのは意外と難しい。
そこで、自分に負担の少ない、相手プレイヤーがトークン2枚取りできないよう、トークンが3枚以下になるように取るという細かいテクニックは超重要です。

もっと細かいプレイングについて述べましょう。
相手が欲しがっているトークンをどうしても使わなければ、自分も動きづらい、という局面が必ずあります。そういうときは、相手がトークンを8枚~10枚持っていて、新たなトークンを取りづらいターンに使います。上級者同士のバトルでは、こういう細かな防御力が勝敗を分けるのです。


・「色の相性」の考え方を捨てる

この記事で一番伝えたかったコツはこれです。

「初心者へのコツ」として、「(白)青緑、白赤黒の組み合わせは“おおまかに言って”相性が良い」と書きました。実際、「宝石の煌き」の戦略、テクニック、勝ち方について書いている記事の多くは、そのように書いています。

しかしこれ、半分正解ですが、半分は間違っています。

たとえば、赤7枚で買えるのは黒の4点、黒7枚で買えるのは白の4点です。ここまでは、「白赤黒は相性が良い」という上記の考え方と一致します。

しかし、白7枚で買えるのは青の4点ですし、赤の4点はというと、コストは緑7枚です。「友好色」の考え方は、一貫していません。ゲームバランス上、当たり前といえば当たり前の話ですが。

さらにいえば、黒4白2赤1で青の2点、赤4で青の1点が買えます。ここだけ見ると、白赤黒で固めていると青が買いやすい、という不思議な構図に。

つまり、「友好色」なる法則があるのは一部のカードのみ。このあやふやな概念に惑わされ固執していると、場のカードに対して目が曇ってしまいます。
つまり、本当に重要なのは、次に取るカード、次の次に取るカード、次の次の次に取るカード……の読みであって、場のカード同士のシナジーなのです。


■実際の動き方

初手で予約するのは、定石中の定石(でも、初心者相手にやると驚いてくれるので優越感)。コスパの良い宝石を1~2枚取っておきましょう。


・2人対戦

単色レベル2カードと、コスパの良いレベル1カードからスタートするのが基本。
たとえば、

①青5の青2点予約
②黒2白1の青0点予約
③黒白青トークン
④黒青トークン+1色
⑤予約済み青0点購入
⑥予約済み青2点購入

この動きで、6ターン目に青宝石2枚かつ2点が取れます。レベル3カードに青トークン多めな宝石があれば、これはかなりのアドバンテージ。

もっとも、金トークンを大事に持っておいたり、相手プレイヤーが欲しがっているトークンを取っておいたりするプレイングは重要なので、こんなに焦って2点取る必要もありませんが。


なお、レベル2に単色の良コスパカードがない場合は、レベル3や貴族タイルを見越したうえで、後半に重要になってくる色を判断し、良コスパレベル1カードを購入しましょう。2人対戦までは、貴族タイルも結構重要です。



・4人対戦

2人対戦ばっかりやってるので、4人対戦の動き方に関しては相対的に自信がないことを、先に言い訳しておきます……。

基本的には、2人対戦と同じように、コスパの良いレベル1⇒レベル2を繋げる戦略でOKです。

しかし、

・トークンが各色7枚あること
・他プレイヤーが多いので、妨害が多くなること
・5枚の金トークンが枯れがちになること

の3点が、2人対戦とは大きく異なります。言い換えれば、

・レベル3カードが序盤から取りやすいこと
・思い描いた動きがしづらいこと
・金トークン保有の重要性が増すこと

を頭において、2人対戦での基本の動きを、修正しなくてはなりません。


したがって、

①赤トークン2枚
②赤黒緑
③赤黒+1枚
④赤4黒2緑1の白2点を購入

というように、2人対戦ではなかなか難しい4ターン目に2点獲得する動きもしやすくなります。

さらにいえば、

①黒7枚の白4点予約
②黒トークン2枚
③黒トークン2枚

の後、4ターン目以降も黒トークンやら金トークンやらを重ねて、1枚目に4点宝石を購入するプレイングも、不可能ではなくなってきます。もちろん妨害は受けやすいのですが。

僕は、このへんの思い切りの良さがまだ磨けておらず、レートが200も下のプレイヤーにすら、たまにあっさり負けたりします。みなさんも試行錯誤してみてください。


・3人対戦

2人対戦と4人対戦の間、って感じですね。点数付き宝石だけ購入するつもりでは動けないし、かといってレベル1宝石を取り続けていると遅い、絶妙なバランスです。


■超上級者について

レート2000クラスは、マジで化け物。こっちがどこで間違えて負けたのか分からない。いつの間にか防戦一方になって、そのまま負ける。

いつの間にか5点カード取られてることもあるし、でもある時は、レベル3カードを取らずにいつの間にか貴族タイル取って勝利されることもある。訳が分からない。戦略の幅が広すぎ。


・超上級者との対戦例

「Historist」の名前を見た瞬間に、(こいつランキングで見たことある!)と身構えたのですが、案の定惨敗しました。

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レート2000超えはやっぱヤバい。片岡鶴太郎みたいな顔のアイコン使ってるくせに……。


場に、赤7・黒4点や赤7黒3・黒5点があるのに、赤宝石が1枚もないのを見た片岡鶴太郎は、悩んだ末に1ターン目にレベル1山札のトップを予約
まあ、うまく赤宝石を引き当ててはいなかったみたいですが、この勇気。


下は、王手がかかった最終ターンの様子(僕はいたちの最後っ屁で赤5・白2点取得後)。
僕は妨害を恐れて予約しすぎた結果、いつの間にか赤トークン&金トークンが無くなって身動きが取れなくなりました。その間に、片岡鶴太郎はレベル2のカードを連発で購入。白青緑貴族タイルを取ってます。

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こっちが、負けた僕の取得カード。
点数付きのカードを優先してとる、という基本中の基本を守って戦ったのですが……

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勝利した片岡鶴太郎の取得カードを見てください。

この記事で散々書いたように、ふつうは貴族なんて狙わずレベル3カードを狙ったほうが勝てるんですが(だって僕はそうやって勝ってきたので……)、見ての通り真逆の戦法で勝利してます。
レベル1カードを8枚取って勝つってマジで何が起きたのか分からない。

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なんでこんな強いんだ……もはや、この記事に書いたノウハウだけでは説明不可能。研究を続けます。



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