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携帯電話会社と保険会社の業務提携の歴史をまとめました。

社内で開催した、「保険会社の勢力図」というセミナーが興味深かったので、自分もいろいろ気になったので調べてみました。
すると、携帯電話会社と保険会社の興味深い関係が明らかになったので、まとめてみようと思います!

大手の携帯電話会社といえば

日本に住んでいれば誰しもが、NTTドコモ、au、ソフトバンクの三社をこの順番で連想されると思います。

2022年4月時点でのシェアはNTTドコモ36.9%、au27.0%、ソフトバンク21.0%(合計84.9%)だそうです。

○移動系通信の契約数における事業者別シェア
・NTTドコモ:36.8%(前期比、前年同期比とも▲0.1ポイント、MVNOへの提供に係るものを含めると42.0%)
・KDDIグループ:27.0%(前期比▲0.1ポイント、前年同期比▲0.6ポイント、MVNOへの提供に係るものを含めると30.6%)
・ソフトバンク:21.0%(前期比▲0.1ポイント、前年同期比▲0.5ポイント、MVNOへの提供に係るものを含めると25.3%)
・楽天モバイル:2.1%(前期比+0.2ポイント、前年同期比+1.5ポイント)

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000196.html

大手の保険会社といえば

保険会社と言っても、生命保険と損害保険によって属性は全く異なりますが、今回のテーマである携帯電話会社と親和性の高いのは損害保険会社です。
損害保険業界のシェアはこちら。

https://gyokai-search.com/3-sonpo.htm

携帯電話会社と損害保険会社の結びつき

NTTドコモは東京海上HD系と、auはMS&AD系と、ソフトバンクは損保ジャパンHD系と、偶然かもしれませんが、業務提携をしているタッグの会社とシェアの順位が同じでした。

NTTドコモ×東京海上日動

NTTドコモは、2010年3月にNTTドコモと東京海上日動が業務提携関係になることを発表し、2010年4月からドコモワンタイム保険として、スポーツ・レジャー保険、ゴルファー保険、海外旅行保険、国内旅行保険を提供し始めました。
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/page/100330_01.html

現在では、「ドコモ保険ナビ」として様々な保険を展開しているようですが、2022年5月をもってドコモワンタイム保険は終了するようです。
コロナによってレジャーや旅行系の保険が盛り下がってしまったのも根底にあるのでしょうか(あくまで推測ですが)

ちなみに、生命保険では日本生命と業務提携を結んでいます。
https://www.nissay.co.jp/news/2015/pdf/20151021.pdf

au×あいおい損害保険

au(KDDI株式会社)は2010年2月に、あいおい損害保険株式会社との共同出資によりモバイル損保設立準備株式会社を設立し、2011年5月から、自転車プラン、スタンダード傷害保険、国内旅行傷害保険を発売しました。
https://www.au-sonpo.co.jp/corporate/history/

現在ではau損害保険株式会社として、また、KDDIも金融部門をauフィナンシャルホールディングス株式会社として、持ち株会社として確立しています。ちなみに、auフィナンシャルHD株式会社はグループ会社にライフネット生命を加えており、ライフネット生命株式会社の筆頭株主であり、同社の社外取締役としてauフィナンシャルHD株式会社の人間を入れるなど、深い関係性を築いています。
https://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/201911-25-news.pdf

ソフトバンク×損保ジャパン日本興亜

2010年12月にソフトバンクと損保ジャパンで「ソフトバンクかんたん保険」を開始し、『海外旅行保険』『スポーツ・レジャー保険』『国内旅行保険』『ゴルファー保険』を提供しました。
2015年8月に自転車保険を加えるなど、若干プラン変更をしているそうです。
https://www.sbbit.jp/article/cont1/22696

新興保険はいかに

ところで、最近よく耳にする保険会社といえば、PayPay保険、LINE保険、楽天保険あたりが上がってきます。
PayPayやLINEはZホールディングス(ZHD)株式会社の傘下であり、ZHDはソフトバンクグループの傘下に当たるため、こちらも触れておく必要があります。
楽天も新興の携帯電話会社として、日に日に存在感を高めています。

PayPay保険の前身

ZHD株式会社には先述のようにLINEが挙がりますが、Yahoo!も忘れてはいけません。
実はYahoo!は2005年から米国エーオン(の日本子会社)と共同設立したワイズ・インシュアランス株式会社を設立して、Yahoo!保険を運営していました。2018年には、三井住友海上火災保険株式会社とInsurtech推進に関する合意を行なっているようです。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2018/12/28a/
ただ、Yahoo!保険は2022年3月末でサービスを終了し、現在ではPayPay保険にサービスを移管しているようです。

また、LINE保険も2022年4月末でサービスを終了しているようです。
こちらは業績悪化やPayPayへの統合が理由ではないとのことですが、ZHDとしてPayPayに保険分野を集約する流れになってきているように感じます。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2112/16/news114.html

PayPay保険は代理店として着々と…?

PayPay保険は「ソフトバンクかんたん保険」や「Yahoo!保険」「LINE保険」の流れを汲みつつ、これまでの保険サービスとは全く違い、代理店として保険を募集する機能に特化しているように思います。
https://www.paypay-insurance.co.jp/corp/handing.html

現時点では、「ソフトバンクかんたん保険」と同じような領域を取り扱っているのに過ぎないですが、生命保険会社との関係性を匂わせていることから、今後は生命保険分野も取り扱う可能性が高いでしょう。

楽天保険

楽天はこれまでの会社とは全く違った路線です。
元々はECサイトとして、様々な商品を展開するグループ会社であり、楽天トラベルや楽天カードのサービスの一分野として、自社グループで生命保険会社、損害保険会社を立ち上げ(買収→改称)ています。

楽天は携帯電話会社というわけではなく、独自のエコシステムの中に保険や携帯電話会社があったということでしょう。

楽天が生命保険分野に参入しているということはいずれ、AmazonやGoogleなどの世界的プラットフォーマーも参入しうる分野であるという象徴でもあります。

まとめ

大手の携帯会社は、それぞれが損害保険会社と手を組み、2010年ごろから保険販売を開始していたということがわかります。
自社のプラットフォーム上で保険販売をするというのは、特にGoogleやAppleなど「プラットフォーマー」が台頭してきた2010年ごろの自然な風潮だったのかもしれません。

ただ、およそ10年経過してみると、ドコモは少し消極的になりつつあり(?)、auは積極的に保険分野に出資、ソフトバンクは損害保険分野を維持という感じでしょうか。
一方で、代理店領域に進出しつつあるPayPay、独自のエコシステムで勝負する楽天も、大いに注目するべきプレーヤーではないかなと思います。

SasukeFinancialLabでは、コのほけん!というサービスを展開していますが、特にPayPayは競合になり得る可能性が高いのではないかと感じました。

ちなみにコンビニは…

大手三社の寡占市場といえば、コンビニ業界が挙げられますが、こちらは現時点で特に目立った動きはなさそうです。
セブン&アイHDは「セブン保険ショップ」という名前で保険を販売しており、ファミマ、ローソンは東京海上日動と手を組んで保険を販売している程度のようです。

 





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