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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第35回]


「わたしの好きな詩 ──心に静かに染み渡ります」
というタイトルで続けてきましたが、
考えてみると、絵の制作がクリエイターとして、
一番メインの作業になっていました。
そこで今回より、タイトルを変更しました。
以後よろしくお願いいたします。

霊巌寺 画・礒部晴樹


霊巌寺          れいがんじ

館娃宮畔千年寺      かんあいきゅうはん 千年の寺
水闊雲多客到稀      水広く雲多くして 客のいたること稀なり
聞道春来更惆悵      きくならく しゅんらい更にちゅうちょう
百花深處一僧帰      百花深きところ 一僧の帰る

白居易          はくきょい


いにしえの宮殿 館娃宮のほとりにある 千年もの古い寺
水郷が広々とひらけ 雲が多く 訪れる人は少ない
聞けば 春になったら さらにものわびしく
百花がふかぶかと咲きみだれるところに
一人の僧が帰ってくるだけだという


*またまた漢詩という古典の世界です。
現代ばなれした遠い時代、辺境の物寂しい風景が
逆に新鮮な感じです。
しばし喧騒のちまたを忘れ
静寂の別世界にあそびます。


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