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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第58回]


尋隠者不遇 礒部晴樹・画


尋隠者不遇        隠者を尋ねてあえず

松下問童子        しょうか 童子に問えば
言師採薬去        言う 師は薬をとりに去る
只在此山中        ただ この山中にあらん
雲深不知処        雲 深くして ところを知らず

賈島           かとう


松の木陰で 隠者に仕える子に、
「師匠はおられますか」と聞くと、
「師は 薬草取りに出かけました。
この山中におられるのですが、
雲が深いので どこかわかりません」
と答えた。

※むずかしい漢字もなく、
すんなりとわかりやすい詩です。
最後の 雲が深くて、どこにいるかわからない、
の句がぼうようとして、私は好きです。

その問題の「雲」を、この絵では、
山水画、大和絵などでスタンダードにつかわれる
表現スタイルで 描いてみました。
また、松の木も山水画的に描いてみたのですが、
今回、いろいろ画集をながめて、
古典の絵画では、樹木の種類をはっきり描き分けている
ことがわかりました。
「松」「竹」「梅」「芭蕉」「柳」その他いくつかの種類。
古典的モチーフをどう現代に取り込むかが、
当面、わたしの課題です。





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