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セガンティーニの絵に出会ったとき

今から9年ほど前、人生もだいぶん経ってから、ようやく美術にも興味を持ちはじめたころ。女性の服と空の青、山々の白、草原の緑のコントラストが目を引き、荒いのか細かいのかよくわからないタッチの印象的な絵をポスターで見て、気に入ってしまった。
それがアルプスの画家 セガンティーニだ。

久しぶりに押入れを掃除していたら、佐川美術館であった展覧会『セガンティーニ ー光と山ー』の図録が出てきた。なつかしくて、パラパラとページをめくってみた。

展覧会があった当時、セガンティーニという画家のことを知らなかった。ポスターで気に入ったというだけで、わざわざ約2時間かけて美術館に観に行くというのも初の経験。なのでとても新鮮だった。

ポスターであった青白緑が印象的な絵は数点、現物はやっぱり素敵だった。点描の新印象派とも違った、細かい線で埋め尽くされた画面、結構いろんな色が混じっていて、それが合わさって輝いて見えるよう。絵ってこんな表現ができるんだと初めて感じる発見だった。
それ以外には、むしろミレーのような落ち着いた色彩の風景や農作業の絵が多く、それにも親しみが持てた。象徴主義的で不思議な天使やヴァニタスの絵も興味深かった。

自分の好きな画家ができた瞬間だった。それからはいろんな美術展や芸術祭を観に行って、好きな画家やアーティストが増えたが、セガンティーニが最初だったと思う。
残念ながら、それ以降はセガンティーニ展は開催されてないと思うが、大原美術館と西洋美術館に行けば、それぞれ1点だけだが秀作を観ることができる。お気に入りの絵だ。

いつかセガンティーニ美術館の門外不出の大作《アルプス三部作》を観に行きたい。

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