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EBPMとデータ利活用のタイミング 2023

最近、データ利活用やEBPMについて聞かれることがまた増えてきたので、私が普段考えているEBPMのためのデータ利活用には4つのフェーズについて軽くまとめておきます。

まずは、現状を理解する

現状を市民と理解して課題感を共有するためのデータ分析ですね。
得てして自分のやりたい施策のエビデンスを探すようなデータ分析にもなりがちだがそうではないですよ。また、データ分析で課題を発見するという考えもそれでは浅い。データは事実しか語らない、それをどう読み解くかが地域の人ならではの味付けなのです。ツールやシステムが使えるかではなく、自分の街としてたとえば子育てのしやすさをどう捉えてそれをどんな切り口で見たらわかるのか、という考える力が一番大事です。その設計図を作れる力をつけましょう。ただし、課題の解決しかやらないようでは、価値創造の政策立案にはならない。単に課題解決し続けるモグラ叩きになります。

未来(ビジョン)を考える

良い未来、悪い未来の可能性を考えてデータで推測する。ここも数値や根拠を元に未来を推定していくデータ分析ですね。なんとなく、こうなりたい!ではなく、現実としてどこまでやるのか、どういう状態になったらいいのか。それは達成可能なのか?そういうことを数値を使っていくフェーズです。EBPMと言っているのに、現実的に不可能な目標に向かっていては何のための数値でしょうか。そうなっては、単なる根性論となってしまうのです。向かうべき方向性と現在のギャップをどう埋めていくのかを施策検討するのに数値で判断し合意形成するための、未来の姿を共に考えるためのデータ分析でもある。

方向性から施策と効果を住民と評価する

施策は1つだけではなく複数考える、それもその複数考えたものを松竹梅などバリエーションを考えて、どこまでどう組み合わせてやるのがいいのか、多くの案やシミュレーションの結果から効果や住民が一緒にできるかなどの観点も含めて一緒に評価するためにも、施策と効果のデータ利活用が必要です。耳あたりの良い施策や言葉は住民はすぐに聞き入れますが、それが実現するのにコストや現実性含めてどうなのか?は別の問題ですから。

施策後定期的に指標を見てどうするのか議論する

多くの計画は指標が曖昧で完了時のアンケートだけになってしまっている。これでは当然途中経過を確認することもできないし、終わった時にダメだったら最初の計画でEBPMしていても到達の時にできていなければ無駄になってしまうということです。だからこそ、定期的に確認できるよう数値もためていくのです。今あるものから探すのではなく、今ないなら作っていくことを考えなければなません。なぜなら、多くの自治体でそんなポンポイントな情報は持っていないから、新たに作っていくことが必要になるからです。これができてこそのアジャイル型政策立案でもあるのです。

普段から、施策や活動の結果を評価することを考えていれば、自然とデータは蓄積されるし、その結果として見せられるグラフや図があるならオープンデータとしても数値を公開すればいい。そんな形で計画を立てる時だけデータを使うのではなく普段使いすることをどうするかを考えていくのですよ。わざわざ使うから自然に使うに移行できたところだけが、EBPMを普段使いできるようになるのです。

ちなみに、Vision and Policy Making Mechodologyという形でデータ利活用の新しい実践型研修も用意しているので興味のある方は是非ご連絡ください。


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