図書館とレファレンスサービスと口唇口蓋裂と『ベイビーわるきゅーれ』と『君は永遠にそいつらより若い』とアンセムと

 今月3日に「口唇口蓋裂を受け入れられなかった家族」というweb記事をシェアしたところ、RT数54、イイネ87と、自分のアカウントとしてはなかなかの反応の多さで、口唇口蓋裂を扱った自作のうちでは最高傑作の「三十歳」に用意した頁もわりとビュー数を稼いでおり、やはりあそこから自作に行けるようにするべきだったと思いつつなにもしていなかったのだが、今後の創作に向けて某大阪府立中央図書館のe-レファレンスへ「口蓋裂症の患者が古今東西、どのような扱いを受け、どのように呼ばれてきたか、どのように患者たちは文献、創作物で表象されてきたかを網羅的に調べたいです」とメールフォームから送ってみていたところ(いつ送ったか忘れた)、「お探しの内容に関する資料を網羅的に調査する合理的な検索方法がありませんので、こちらで探し出せたものを以下のとおり、ご紹介します」という但し書きとともに送られてきた返答の一部をスクショとともに17日にツイートしたら、およそ29時間のうちにイイネ6515、RT2339と、2008年からつづくこれまでのtwitter歴で最大の数値を叩き出した。おりしも某政党議員が、図書館司書はいずれAIと取って代わるので不要、などと発言したのも影響したものだと思われるが(だから私もくだんのツイートをしておこうと考えたわけだが)、これからもしばらくはつづくだろう。いろんな作品も教えてもらえて、皆さまに感謝しております。「バズったから宣伝」というやつをやりたくなる気持ちも理解できた。
 私の小説作品はこのWebsiteにある「略歴と作品」に置いてあり、そのうち口唇口蓋裂を扱っていて作品を読むことができるのは「冬」「蟹蠢」「三十歳」で、「夜明けの岸辺」はこれらの作品のプロトタイプだけれど、データがなくなったため私の手もとには掲載誌の『白鴉』10号しかなく、もちろんそれを打ち込みするのが面倒でそのままに。国会図書館には置いてありますが。もしお暇な時間などございましたら、読んで褒めていただければとても喜びます。noteは投げ銭もできますよ。
 小説などの文章での表象ばかり気にしてたけど、そういえば漫画で描くときどうしてんだろうなと思ったので(美術の時間などでおたがいに自画像を描かされるときの、相手がめっちゃ描きづらそうにしているあの感じ)、機会があればまた見てみようかなと。
 ちなみに以前に書いた記事に口唇口蓋裂患者を描いた作品として畑山博『いつか汽笛を鳴らして』がいちばん有名だとか書いていましたが、実際はそうでもなさそうですね。

 先月29日に、twitterでの評判で気になっていた『ベイビーわるきゅーれ』を観に行き、たしかに最高だったので、今日までで3回観た。コンバットREC氏もアトロク言っていたように、社会不適合者へのアンセムとしてとてもいい作品で、とくにまひろ役の、本業がスタントパフォーマーである伊澤彩織氏のアクションがすごい。女性の格闘アクションとしては『アトミック・ブロンド』などの攻撃、打撃技が素晴らしかったけれど、今作では攻撃、打撃よりも回避とフェイントに重点が置かれていて、回避とフェイントがこんなに見てて楽しいものなのかと思った。観逃していた『るろうに剣心 最終章』でもスタントとして参加されていたらしい。パンフレット特典のCDも最高の出来。日常パートのオフビート感も好み。

 映画化した『君は永遠にそいつらより若い』を 観た。「リズール」の依頼で本の紹介短文を書いたときに率先してこれを選び(このときにはじめて私はこの作品について「共苦」という言葉をキーワードとして書いたと思う)、某読書会ではじめて課題本を選ぶときに迷いなく推薦した程度の原作ファンなので、だいぶ覚悟して行ったわりに、気合入りすぎて1800円とかする(350頁弱ある)パンフレットを購入していたが、原作を読んでいないという西森路代氏が激賞している通り、作品としてはたいへんいいものだった。しかし原作ファンとしては不満点もあり、ホリガイがひとりあの場所へ行ってイノギさんの自転車の鍵をボールペンで掘り出そうとしているという場面がなくなっていた。私個人としては原作での屈指の名場面のひとつなので、五億点満点から100万点ぐらい引く感じにはなってしまうのであった。全体の描きかたとしてはなくても成立しているし、それなら上映時間をすこしでも短くして、すこしでも観客が観に来やすいようにしないといけないのだな、とかいろいろ考えた。たぶんまた観たくなると思う。ホリガイもイノギさんもだいぶ原作のイメージに合っていたと思います。あと舞台の大学が京都から首都圏に変わっていたので、そんなうまいこと和歌山、小豆島、島根と西側の人間ばかり集まるか、と思ったけれど、だからこそ誰ひとり関西弁喋らなくても自然に見えるのかとも思い、ここは突っ込まないことにした。アトロクのムービーウォッチメンに当たるといいな。

 アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ──ル=グウィンの小説教室』にある練習問題、某同人が書籍を買って、よさそうだったら白鴉でやろう、と言っていたのでなぜか待機している。べつに勝手にやってもいいと思う、自分でも。


さいきん読み終えた本
『ヴァージニア・ウルフ短篇集』(ちくま文庫)

さいきん観た映画
『ベイビーわるきゅーれ』 (阪元裕吾)シネ・リーブル梅田
『ホロコーストの罪人』(エイリーク・スベンソン)シネ・リーブル梅田
『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』(アミール・“クエストラブ”・トンプソン)シネ・リーブル梅田
『アナザーラウンド』(トマス・ヴィンターベア)シネ・リーブル神戸
『ある用務員』(阪元裕吾)シネマート心斎橋
『ベイビーわるきゅーれ』(阪元裕吾) 2回目。シネマート心斎橋
『ベイビーわるきゅーれ』(阪元裕吾) 3回目。シネマート心斎橋
『君は永遠にそいつらより若い』(吉野竜平)テアトル梅田

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略歴と作品


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