転生したら箱だった件について (短文 2/18)

転生したら箱でした。どうやら絶望を閉じ込めているようで、醜く歪むたびにそれはこぼれました。僕はなるべく美しくあろうとしましたが、絶望は端々から染み出すことをやめませんでした。ある日美を保つための所作、その全てが馬鹿らしくなり、崖から飛び落ちました。箱は大きくひしゃげて、隙間からたくさんの絶望が溢れました。それだけでした。僕はみんなにいくばくかの痛みは与えども、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。僕は永遠が見たかったのだと思いました。ただしそれは美しさにも醜さにも、絶望にも潜んではいませんでした。それらは僕の全てでした。なるほど、だとしたら僕は天国にも地獄にも行き着かないのだろうなと思いながら朽ちました。

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