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【書評(短評)】経営戦略を問いなおす/ 三品和広

2019年10月17日
「戦略」なる言葉はよく聞きます。「経営戦略」や「成長戦略」など、さまざまな場面で使っています。しかし、本当に意味を理解して使っているのか、僕は自信がありませんでした。

また、「戦略」と「戦術」の違いも、わかっているとは言えません。英語で言えば「Strategy」と「Tactics」で、違いがあるとはわかっていますが、どう違うのか、感覚で使い分けてきました。

その程度で「経営戦略」を語れるのか。そんな自分への疑問から、この本を手に取りました。
初版は2006年、13年前(*当時)に出版された本ですが、議論の本質は全然古くない。それどころか、状況はまったく改善されていないと思いました。

<目次>
第1章 誤信
第2章 核心
第3章 所在
第4章 人材
第5章 修練

めちゃくちゃ面白かった。面白かったですが、仕事ですぐに戦略を立てなくてはいけない立場の人が読めば「なんだ、これ(怒)」になるでしょう。

戦略は人に宿り、大切なことは「観」だと言われてしまえば
「だから何をすればいいのだ(嘆)」
と思ってしまうに決まっています。

しかし、戦略の本質は三品さんが言う通りだと思いました。そんな付け焼刃で、本を読んでそのステップ通りに進めば戦略が出来上がる、なんてものではないはずです。もしそれで答えが出るなら、皆が同じ答えにたどり着き、差別化も何もできません。そんなものは戦略であり得るはずがない。

歴史観、世界観、事業観、そして人間観。そうしたことを養いながら、自らの理念に従って作っていくのが「戦略」です。ですから、戦略を作るのは経営者であり、中間管理職に作らせてはいけないのです。中間管理職が作るのは、与えられた理念や戦略に基づく「戦術」です。

ということで、即効性はないと思いますが、将来その地位になることを目指す人は本書の言うことを理解してものごとに取り組んでいけばいいと思います。第5章に、どう「修練」を積んでいけばいいかか書かれています。

それと、戦略が必要なのは会社・組織だけではない。「自分」がこれからそうしていくのかという戦略を立てるためにも役立つはずです。

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