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赤ちゃんの逆さまつげは大丈夫!?

こんにちは、ひろです!
現在、小児科医として働いており、日々精進中です!
病院で関わる方以外にも、多くの人に自分の記事を読んでいただきたいと思い始めました。
少しでも子育てに不安や迷いが生じている、そんな方に向けた記事を作っていきたいと思います!
さて、本題に入ります。
1か月健診の際に、よく保護者の方から下記のようなご質問を受けます。
「逆さまつげで目に入っているように思うのですが、大丈夫ですか?」
このことに悩んでいる方は実際多いのはないのでしょうか。
この記事では

● 生後〜1歳までの赤ちゃん(乳児)に関する逆さまつげ

について、解説していきます!


1. 乳児の逆さまつげは、基本的にNo Problem

乳児や小児にみられる「逆さまつげ」の病名は「睫毛内反」であり、まつげが角膜に接している状態を指します。逆さまつげは下まぶたの鼻側に多くみられます。乳児や小児のまつげは成人と異なり柔らかいので重症の角膜障害をきたすことは稀です。

角膜(青線で囲んだ部分)
角膜は光を屈折させるための透明な窓である。

角膜に接しているかどうかは、実は肉眼では確認しづらいことが多いです。
常にまつげが角膜あるいは結膜に接している場合には、眼の充血が見られたり、涙が出てきたりします。この場合、角膜を保護するためにヒアルロン酸ナトリウム点眼薬などを用いて経過観察していきます。

乳幼児に逆さまつげが見られるのは、まだ顔の骨が発達途上であり、特に鼻の付け根の部分が平たいことで眼球に向かってまつげが生えているからです。逆さまつげ自体は、2〜3歳(遅い場合は学童期)で顔の骨の発達に伴い、自然に治っていくことがほとんどです。

2. 注意が必要な逆さまつげ

逆さまつげは角膜障害を起こす可能性は低く、自然に治りますが、注意が必要な場合もあります。それは、「先天緑内障」の場合です。角膜が大きくなることで逆さまつげが目立ってきます。遺伝性はなく、はっきりとした原因はわかっておりません。この病気の80%は、1歳未満で発症します。所見として、①涙が多い、②極端にまぶしがる、③まぶたのけいれんがある、④角膜混濁(黒目が白く濁る)、⑤角膜径拡大(黒目が大きくなる)が見られます。

先天緑内障(左角膜が大きくなっている)
Karaconji T, Zagora S, Grigg JR. Approach to childhood glaucoma: A review. Clin Exp Ophthalmol. 2022;50(2):232-46.

この場合には、眼科を受診してください。眼圧を測定することなどにより診断に至ります。この病気は、薬物治療の効果が低いため、速やかに手術を行う必要があります。1回の手術で治らない場合には、複数回の手術が必要になります。また生涯にかけて経過観察が必要になります。また、角膜混濁が見られる場合は、視る機能の発達が妨げられるため、メガネやアイパッチを使用することがあります。



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