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善い思想の前には、善い世界が広がる

『どうぞのいす』という絵本を読んだ。

対象年齢は2歳〜4歳とのことらしいが、騙されたと思って大人もぜひ読んでほしい。僕にはとても大切なことが書いてある絵本のように感じた。

ストーリーはシンプルだ。
うさぎさんが手作りのかわいい椅子を作る。そして、その椅子を「どうぞのいす」という立板を添えて、疲れた人に座ってもらうようにしたのだ。

ロバさん登場

しかし、そこに訪れる動物たちは、椅子に座らずに、その椅子の上に自分が持っている果物や木の実をお裾分けしていく。次に来る動物は、それを食べ、そしてまた自分の好物を代わりに残していく。
搾取する者も騙そうという者もいない。善の循環とも言うべき素敵なサイクルがそこにはある。
イラストも含めて、ホッコリするとても良いストーリーだ。

しかし、なぜこのような良い世界が出来上がるのだろうか?

それは、この「椅子」と「立板」の造形にある。

この椅子は、いかにも手作りっぽさを感じさせ、後ろには「しっぽ」らしきものがついている。何とも可愛いフォルムだ。
そして立板には絶妙のフォントのひらがなが書かれている。
この椅子と立板の造形からは、「素人が他人のことを思いやり、頑張って作った」という善意のメッセージを受け取らざるを得ない。

僕らは常に自由意志で行動しているように見えて、知らないうちに見えない環境の影響を受けまくっている。
だから、このような誰かの善意が伝わるような造形の前では、知らないうちにその影響を受けて、良い人になり、善意をお返ししようとするのだ。

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