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狂気溢れる書籍 〜高橋浩一著『営業の科学』ご恵投いただきました

物事には「バランス」とか「ほどほど」というものがある。

運動することは体にいいことはみんな同意するだろうが、バランスを欠いた「運動しすぎ」になると話は別だ。

たとえば、『イーロン・マスク』に描かれているマスクの姿は、明らかにバランスを欠いている。

高い目標を掲げてギャップを作り、そこにチャレンジしていくことの重要性はみんなわかるはずだ。しかし、あの本に描かれているマスクの行動はもはや狂気だ。
できもしないレベルの目標を掲げ、自分もそのそのプレッシャーに押し潰されそうになりながら、周囲も道連れにしていく。
もはやバランスを欠くというよりバランスメーターがぶっ壊れている感じだ。正直そばにいたくない。

しかし、そのようにバランス感覚がぶっ壊れているからこそ成し遂げられることがある。
マスクの成果は、彼のぶっ壊れ具合にあることはみんな同意するだろう。
マスクがメンバーの状態に配慮でき、ほど良いレベルの目標で満足できるバランス感覚に優れた人物だとしたら、少なくともウォルター・アイザックソンが伝記を書く対象にはならなかったはずだ。

さて、バランスを欠いているという意味では、僕にも1人心当たりがある。
本書『営業の科学』を書いた高橋浩一さんだ。

彼はコミュニケーションが得意ではなかったらしく、営業でも相当苦労した歴史があるらしい。
その経験から、どうしたら営業がうまくいくのかを考え始めるのだが、ここまでの話であればよくあるものだ。
しかし、彼はその考えるレベルが明らかにバランスを欠いている。独自のフレームを考え、実践してブラッシュアップする、というサイクルを食事を摂るのと同じレベルで繰り返している。
さらに、今回の本の前提には「営業1万人」「顧客1万人」への調査があるらしい。
本を書くだけならば、既に十分それなりのことが言えそうだが、コミュニケーションを探究したい、営業を科学的に理解したいという彼のバランスを欠いたモチベーションが、安易な執筆を許さなかったのだ。
知らんけど。

未読だが中身をパラパラと見た感じでは、その彼の偏執狂的な狂気いやもとい、ナイスな知見が素晴らしくまとまっている。よくここまで考えたものだと思う。バカ売れしている理由もわかる。

本書は多くの人にとっては過剰な部分もあるかもしれない。
だが、それが良いのだ。
営業として活躍するのであれば、これくらいの突き抜け方、狂い方が求められている、というメタなメッセージとしても受け取るべきなのだろう。

また浩一さんと対談する機会が楽しみだ。

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