1の栄光の陰に1000の挫折

セブンドリーマーズの倒産のニュースは私個人としては残念なものだったが、その後にいろいろな意見が出ていて少し気になるので敢えてnoteに書いてみる。

間違いなく今回の倒産の主要な原因はランドロイドの開発費と事業採算悪化だろう。ゴルフシャフト、ナステントは事業として成功しているとは言いがたい側面もあるが、生き延びる事はできたはず。ランドロイド事業(開発)を止める決断はせず、それ以外の事業を譲渡してランドロイドに賭けた格好。

一般的なシリコンバレーのベンチャーとは比べにくいが、私はこの決断と情熱には敬意を表したい。良い悪いではなく、自身の情熱・信念に賭けたのだと思うから。

ランドロイドの事業面。社長の阪根さんとは何度かお会いした事もあり、その際に意見したのだが、「ロボットは稼働率を高くすることで初期投資を早期に回収できる」というのは定石なので、家庭用の衣類折りたたみ機というのはそのセオリーに反する。家事は大変だが、普通の家庭において衣類の折りたたみに割く時間はやはり少ない(私は同じ理由で調理ロボットに関しても懐疑的)。業務用から始める選択肢はなかったか。

全ての衣類への対応に拘った点。衣類はそれこそ個人嗜好のものであり、素材・形状が多様であり、また刻々と変化する。これはロボットにおいては非常に高いハードルになる。工場などで使用されるロボットは「いつも決まったものを決まった手順でプロセスする」から活躍するのだ。ある家庭における衣類はある程度規定できるかもしれないが、市販するとなると各家庭の事情を広くカバーする必要が出てくる。これは技術的には相当難しい。

といった具合に私見では相当難しい(の割に事業の急速成長は期待できない)事業をされていたと思う。

が、それは私の意見であり、間違っている可能性も多分にある。

大事なのは、彼とそのチームは信念に従って、やり切ったという事。で、この失敗から何を学び、立ち上がって次に何をするか?という事。シリコンバレーのイノベーションエコシステムの要諦は、真剣で愚直な挑戦と失敗、そしてそこからの学びだからだ。


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