生きていくこと

あたたかい言葉を書きたいと思った
現実のほうが幾分もつらいから

あたたかい人でありたいと思った
本物に傷つけられた人を知ったから

優しくありたいと思った
逃げないでいたいと思った
事実はいつだって残酷だけれど

かなしみはいつも冷たく果てしなく
奈落の底は前も後ろも上も下もなく
誰もいない誰も助けにこない
もがけばもがくほど
深くきつく 息ができない

あたたかい言葉を書きたいと思った
優しい嘘を墓場まで持っていける人になりたいと思った

わたしは一人の人でしかないから
誰かに手渡すものくらい
優しくありたい


#詩 #自由詩 #口語自由詩 #ポエム

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