新宿地下道西口 21時17分

遠く冷えた日々に明け方を探して道を歩く
整理整頓をしましょう
正しく生きていくために
人生を整えましょう
正しく死んでいくために

地盤のゆるい土地は沈みます
沈めば家は傾きます
傾けば
もう誰も迎えにきてはくれません

床に散らばった皿の破片
蒼白した翌朝
明けはこない

大なり小なり
ずっと付き合っていくことになるでしょう
唱えられた言葉とともに
一粒ずつ身体に含む
誤魔化しながら歩まなければならない意味
手のひら ひらいて とじて
空をやさしく握って
忘れられるように
雨の日は傘を差さずに
花は触れるのすらこわい
壊してしまうのではないか
手に触れるもの足のぶつかるもの
身体が少し揺れただけで粉々に
怪物を抱え 穏やかに殺す

新宿駅の雑踏の中
わたしだけが死者だった

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