見出し画像

技能実習生と国際結婚



私と夫が初めて出会ったのは、数年前の4月。

 私は新社会人だった。
誰しもが聞いたことがあるだろう、某大手家電メーカーの現場配属。桜がひらひらと舞う、そんな季節。

この会社にはフィリピンから来た技能実習生が沢山配属されていた。
彼らは激務をこなしながらも、陽気で明るい。
現場はタガログ語やビサヤ語が飛び交っている。
彼らは一生懸命に覚えた日本語で、新入社員として各部署を巡る私に仕事を教えてくれた。

その中に、夫がいた。

夫は彼らの中でもトップクラスに日本語が上手だ。
私が入社する1年前に来日したとのことなのだが、まるで何年も前から日本にいるような感じ。こちらの話したいことは大抵理解できるし、夫の話したいことも難なく理解できた。

それに、夫を一目見た時ビビッと来たのだ。
大きな目、茶色の瞳、健康的な褐色肌、深い黒色の髪に、シュッとした鼻筋に忘れ鼻、薄く横にちょっと広い形のいい唇。
身長こそ私より少し小さいのだが、そんなこと気にならないくらいビジュアルが良い。

じっと夫を眺めていると、笑顔で話しかけに来てくれた。緊張して、その時は何を話したか覚えていない。


 正式な配属先は、夫がいた部署へとなった。
そこで、夫と同じ仕事を任されることになる。
同じ仕事をしていれば、当たり前に親交が深まる。

仕事終わりに食事へ行ったり、お互い日本語や英語を教えあったり、休日に遊びに行ったりしていくうちにお付き合いすることになったのだ。

ここで一つの壁が立ちはだかった。

私の祖父は、外国の人が苦手であったのだ。 

私の家庭は少々複雑で、祖父が私のことを育て上げてくれたようなものだった。
だからこそ、認めてもらいたい気持ち。
誠心誠意、夫とお付き合いをしていることを打ち明けると、ひどく反対されたのを覚えている。

だが、反対されればされる程に愛は盛り上がってしまう。ロミジュリ効果ってヤツだ。

顔を合わせるたびに祖父と激しい喧嘩をし、耐えきれなくなった私は家出をした。
勝手にアパートを契約すると、夫と半同棲を開始する。
若さとは怖いもので、今思えば相当親不孝なことをしたと反省している。


 半同棲を続けて数ヶ月がたった頃、夫が帰国する年になった。
私のすることといえばどうやってビザを変更するかをずーーっと探していた。

そこから得た情報といえば、

”技能実習生から違うビザへの変更はとても難しい。”

ということ。

元々技能実習生とは

“日本で技術を学び、本国で活かしてくださいね”

というもの。帰国することが前提条件なのだ。
何より、私たちは付き合った日が浅いうえに、夫の立場が技能実習生ということもあり偽装結婚が疑われる可能性が高かった。

離れ離れになりたくないと願っていたある日、妊娠が発覚する。
夫はとっても喜んでくれた。私も最初こそ戸惑ったが、とても嬉しかった。

すぐに実習機関へ報告するも、夫は一旦帰国しなければならないと言われた。
なぜ?と問うと、その実習機関ではそう言う措置をとっているかららしい。
特別扱いはできない。

そう告げられた。

実習機関との面談を複数回重ねた。
最終的に、帰国の後に短期滞在ビザで夫を日本に呼び寄せ、両国へ入籍の手続きをして、配偶者ビザへ変更するといいとアドバイスをもらった。
(後に調べたら夫は帰国せず、そのままビザの変更が可能だったようだが。)

了承をしたその次の日から早速、帰国の手続きが始まってしまった。

相談なんかしなければよかったのかもしれない、なんて後悔しつつ、先に日本側へ婚姻届を提出。
晴れて入籍をした。
実家とは縁が切れている状態だったので、証人は夫の友人夫婦と、同じ部署で働いていた同僚に頼んだ。2人とも心良く受け入れてくれて祝福してくれたので、本当に嬉しかった。

そして帰国の日、私も1週間だけお休みを取り
夫の実家へ旅立った。初のフィリピン。常夏の国だが、日本よりはジトジトしていなく、風が吹けば心地よい。
夫の友人や家族らと過ごし、とても楽しかったし、フィリピンという国に魅せられた。

ここで私と夫は一旦離れ離れになることになる。

自分で選んだ道なのだが、初の妊娠でひとりぼっちで生活しなければならなかったのは、正直寂しいし苦しかった。
毎日、テレビ電話でお互いの近況を報告し合っていた。

妊娠中、色んな書類を取り寄せるのは一苦労だったが短期滞在ビザで夫を呼び寄せることに成功、90日のビザが下りたのだが

第一子を夫不在の状況で出産することになる。

入管の方の審査が間に合わなかったのだ。
こればかりはしょうがないが、すごく心細かった。

テレビ通話をつなげ、産まれたばかりの娘を見てすごく喜んでいたことに一安心したのも束の間、
慣れない育児を、夫が日本に来る前の1ヶ月間はワンオペでこなした。

 夫が来日後、すぐにフィリピン大使館へRoMを提出。
はれて両国で夫婦となった。

その後、配偶者ビザへの在留資格変更届を出すも、ここで少しトラブルがあったのだが、(それはまた後日投稿しようと思う。)無事に変更が許可され、今に至ると言うわけである。


全部のことを書くとなると、とても長くなるので所々端折ったがこんな物だろうか?
読みづらいとは思うし、下手だとは思うけど、やはり文章にまとめるのは楽しい。

次回も育児の合間を縫って投稿しようと思う。

それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?