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暮らし

機能的でミニマルな生活をしていた。必要なものだけを揃えて。

いつでもどこかへ行きたくて、直ぐにでも飛び立てるように身軽でいたい気持ちもあった。家具もほとんど持っていなくて(本だけは雑多に積み重なっている)、遊びにくる友達も色味のないシンプルすぎる部屋に驚いていた。

それが去年の春から一日のほとんどを自宅で過ごす生活が始まって、私の部屋もずいぶんと豊かになった。ガラス天板のサイドテーブルにはフレッシュなお花をよく飾るようになったし、ベッドリネンやテーブルクロスは彩りのあるものを選ぶようになった。

しつらえる、ということを覚えて、その反対側にいたんだなということに改めて気がつく。本当はこんなテイストが好きだったんだ、という新しい発見や。ミニマルな生活の中にも、愛すべきものやこだわりを上手にしつらえることができるはずで。以前の私は、自分の部屋からですら、本来ある遊びの部分(豊かさや、楽しみ)を排除してしまっていた様な感じがあって、訪ねてくる友人も住んでいる私自身も、何だか窮屈だったよな、と今ならわかる。目の前の景色は、本当に人の内側を映し出しているんだな、と。

旅人みたいな暮らしも軽やかで好きなのだけど。家にいても帰る場所を探してしまうような、少しの寂しさもある。だから、旅に出られない今だからこそ、この東京の街で、一度腰を落ち着かせて「暮らし」てみよう、という気持ちが湧いている。

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