モノクロ

複雑な日常をできるだけシンプルに過ごしたくて、毎日モノクロの服を着る。選択しなければいけないことばかりの日々。豊かさを受け取るスペースをなるべく多く残しておきたい、わたしなりの生きる工夫だ。

選択のゆとりが出てくると、見えなくなっていた好きが明らかになってくる。選択”しなくてはいけない”ことをなるべく減らして、好きの分量を増やしていく。

休みの日には静かな気持ちで着物を纏う。ゆっくり時間をかけて選ぶ。季節、その日の気候、出向く場所、心にぴったりと合う色合いの着物と帯、小物なんかを。

生活とは肉体を持った人間の営みだから、どうしたって一夜にして大きく変わることはないけれど、たとえば好きな人の好む音楽を聞きながら街を歩くと、いつもの景色がちょっと違って見えたりする。意識はなにかのきっかけで、ふと変わることがある。

軽やかに、変化を楽しんで生きたい。どう在りたいかが、薄っすらと分かってきた今だから。

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