静音

先日立ち寄ったカフェの店内が静かすぎた。朝早い時間帯ということもあり、まだお客さんが少なかったためだ。天井が高く客席が広かったので、静けさが増しているように感じる。

カウンターにいる店員さんの声がとてもよく通る。店員さんが大声を張り上げているわけではない。至って普通の声量である。

飲み物を受け取って客席へと歩いていく。コツコツという足音がよく響く。スニーカーを履いていたのだが、革靴を履いているかのような足音である。その後革靴を履いている人が店内に歩いてきたのだが、甲高い足音に聴き入ってしまいそうになった。

席について荷物を置き、パソコンを取り出す。作業一つ一つに音が発生して、静まり返った店内に響く。普段は全然意識していないのだが、ちょっとした動作にもこれだけ音がしていたのかと、自分でも少し驚く。

離れて座っていた2人組のお客さんが話をしている。店内の雰囲気もあってヒソヒソ声で話をしている。ボリュームが小さいので耳障りという訳ではないのだが、音はクリアに入ってくる。

店内にはジャズのBGMが流れている。このお店に限らず店内に音楽が流れているカフェは多い。普段は何となくしか気にしないが、ここのお店ではしっかり聞こえてくる。音の強弱もよく分かるので、曲がしっかりと耳に残る。自分には心地よく感じられた。

パソコンを開いてキーボードをカタカタと叩く。なるべく音を立てないよう慎重にやろうとするのだが、それでも無音というわけにはいかない。キーボードを叩くというよりゆっくり押し込むという感じでやってみる。多少はマシになっているのだろうか。

飲み物を飲むときもできるだけ音を立てないよう、慎重にストローを使う。飲み終わりが近付くとゾゾーっと音が出やすくなるので、注意しなければならない。

何となく程よい緊張感か漂ったせいか、普段より集中度がまして作業のペースが上がった。思っていたより早く予定を終えることができた。