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馬加羅亭はチャーリーズエンジェルがもてなすスナックだった(良い意味で)
世界中の人間誰しも、家の近所に「毎日通る道中の気になる店」があると思う。
いや、絶対ある。
今回は私牛魔王が毎日通る通勤路の気になり過ぎる店、「馬加羅亭」に意を決して入ってみた話。
一人で何か飲みたい夜が先日あり、事前の情報をあえて入れずに馬加羅亭へ。
コロナ禍では閉まっていたり、やっていると外から賑わっているのが見えていた。
恐らくカウンターのみ。
何よりスナックのような内装、古き良き雰囲気がもう看板から滲み出て外に漏れ出していた。
絶対いつか入ってみたい、そんな思いがずっとあった。
人生で行ったことのないアメリカよりもむしろ行ってみたかった。
一応電話したところ、元気なお姉さんが電話口で「お待ちしてまーす!」とのお返事。
確実に渋いオヤジが店主で、バイトの可愛いお姉さんを妄想する。
家から徒歩3分、いざ夢の馬加羅亭へ!
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驚いた。いつも混んでいたのを見ていたが、今日は客が一人もいない。
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カウンターだけでなく、ちょっとした座布団ありのテーブルが一席。
どこでもどうぞと言われたのでもちろんカウンターへ。
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店内は渋くて渋くて口がミッフィーちゃんの×印になるくらい渋い。何故か店内に提灯がある。
そして妄想していたオヤジはおらず、カウンターにおばあちゃんと、奥のキッチンにお姉さんの2人体制。意外過ぎる。
ふと壁を見ると、何と立松和平が良く来ていたらしい。
子供の頃、実家の読書好きな母が本棚に入れていた「アジア混沌紀行」がとても面白かった。
母はエッセイ系が好きだったな。(まだ生きてるけど)
何か嬉しくなる。
まずはビール。
出すタイミングで、おばあちゃんが「お疲れ様でした」と笑顔で言ってくれる。
今日は休みで寝てただけなので全く疲れてはいないが、包みこむ優しさに涙が出そうになる。
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モルツて!
今の若い人はプレミアムでないモルツをどれだけ知っているだろうか。
美味しんぼフリークの私は、麦とホップ以外を使用したビールは邪道と思っていたため一時モルツしか飲まなかった。ややこしい奴だ。
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お通しはカブの煮たやつ。良き。
サクッとビールを空けて、山崎ハイボール(恵比寿なのに何と660円!)を注文。
おばあちゃん(以後ママ)が作ろうとするが、作り方が分からず奥のお姉さんが出てきて山崎ハイボールを作る。
まだこの関係性がわからない。
とりあえず、立松和平がおすすめしていたジャコ豆腐と、旨そうな響きのピーマン肉詰めを注文。
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両方旨い!
じゃこ豆腐はカリカリ揚げたてジャコ。醤油を掛けるとジューと音がする。そして豆腐がデカい。
ピーマン肉詰めは、自家製マヨで和えたと思われる鳥ミンチの甘さが、生ピーマンの苦さによく合う。
ここで常連と思しきピンクパーカーとハットを被ったオヤジと、さらに別で3人グループの来店!
新参者の私が店の雰囲気を壊すわけにはいかない。水のように酒を飲む私が、酒を作れないママに迷惑は掛けられない。他の注文も一気に入るだろう。
そんな少し先の未来が見える見聞色のハキを発動し、とりあえず注文したのがこちら。
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この麦ボトルさえ有れば、あとは自分で作るだけだ。
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、料理はあのお姉さんが一人で作るということに気付く。
いくら要領が良くても、時間が掛かる焼き鳥を焼きながらママのフォローもしながらおつまみを作れるのだろうか。
そんな想いでハラハラしていると、何とヤンキースのキャップを被ったお姉さんに似たもう一人が店に入ってきたではないか!(以下お姉さん2と呼ぶ)
カウンターのママの横で、お姉さん2が酒を作りながら、常連のピンクオヤジの相手をしながら、私のことも気に掛けつつ、テーブル3人のオーダーも取るではないか!
この救世主の登場で、本当にゆっくりできる。
料理追加だ。
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タレに漬け込んだアタリメ、焼き鳥各種。
そして案の定話しかけて来た隣のピンクオヤジがオススメしてきた春巻きを頼む。
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エビとアスパラの春巻き。
旨い。
ただピンクオヤジ、女子みたいなメニューが好きなのか。
話を聞くと、何とママがお母さんで、お姉さんが娘(妹)、お姉さん2が娘(姉)らしい。
お姉さん2は近所の家で風呂上がりゆっくりしていたら妹から連絡があり、急遽店に手伝いに。
最高じゃないか。
元々ママの旦那さん(大将)が切り盛りしていたが、旦那さんが亡くなって娘が継いでいるということ。
ママは数年前に脳のご病気で入院して、仕事がし辛くなったが今もカウンターに立っているということだった。
ピンクオヤジも3人グループも帰ったあと、一人残り皆と話した。お姉さん2人はテンション高く(特にお姉さん2)、非常に楽しい。ママは常にニコニコして素晴らしい。
チャーリーズエンジェルか、喫茶キャッツアイだ。最高だ。
やっぱり入って良かった。
ちなみにピンクオヤジは大将がご存命の頃からの常連。お姉さん2人が子供の頃から知っているらしい。
どおりでお姉さん2人がピンクオヤジに対する扱いが雑なわけだ笑
楽しくて全部ボトルは飲めそうだったが、また来たいので少し残す。満面の笑みで退店。最高だ。
帰り道気になってググッてみたが、ママが注文忘れるだの、元気が良いだけだの、良くない書き込みがあった。
そんな奴はこの店に来るべきではない。
いつからコスパなどという下らないモノサシだけで店が評価されたり、その店の雰囲気や空気も知らないヤツの評価が取り上げられてしまうようになったのだろう。
Googleや食べログの評価ではない、その店の本当の良さがあるのに。
帰り道そんなことを考えたのは数秒で、本当に思ったのは、
「ピンクオヤジが食ってたナポリタンめちゃくちゃ旨そう、次絶対頼もう!」
今日は以上!
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