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「根治」といえども

私は、ヒルシュスプルング病により0歳で大腸(結腸)をとっています。

当たり前ですが、腸をどのくらい切除するかでその後の健康は大きく左右されます。
肛門付近の一部ですんだ人もいれば、小腸の多くまで切らざるを得なかった人もいます。
腸は栄養や水分を吸収する大事な臓器です。腸が短すぎて食べ物からでは十分栄養が取れず、中心静脈栄養を続けている人も多くいます。

私の場合は、直腸を除く大腸全部(結腸)と小腸の一部を摘出しているらしいです。
らしい、というのは、これは親から聞いた話だからです。
手術したのが50年近く前なので、病院にそんな記録はもう残っていません。
当時はヒルシュスプルング病の根治術自体が超最先端のものだったらしく、まさに生死をかけた大手術だったとのこと。私のおなかには15cmほどの傷痕が縦に2本、くっきり刻まれています。
大人になって大腸内視鏡検査をする機会がありました。肛門からカメラを入れてすぐ小腸が見え、やはり大腸はなかったことがこの目で確認できました。小腸をどのくらいとっているのかは今ではもうわかりません。

なお、ヒルシュスプルング病の病変(神経がない部分)は、胎児の発育過程上、必ず腸の肛門側から口側に向かって発生すると言われています。ですが、私の場合はなぜか直腸が残っています。侵されていなかったのでしょうか。今となっては全然わかりません。

また、ヒルシュスプルング病は先天性の障害であり、進行したり再発したりすることはありません。つまり、使えない腸を切除してしまえばそれで治療終了(「根治」というらしい)で、治ったとみなされます。

でも、大腸を全摘された後の生活、いろいろと人知れぬ苦労もありますよ。

根治という表現、もちろん間違ってはいないのですが、なんか冷たいななんていまだにモヤモヤしてしまいます。

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