2021/06/18 大学の専攻分野とその活かし方

今日の仕事で、新人から課長に大学時代の専攻をについて話す機会がありました。それを、noteでもそれについて綴ろうと思います。

学部時代は工学部工業化学科という学位を取りました。学部時代の途中以降から専門としたのが「化学工学」という分野であり、この分野で大学院で修士を取りました。一般的に化学を専攻しているというと、新しい化学物質や反応機構の発見やそれを応用した製品等の開発をイメージされますが、化学工学とはそれとは異なります。開発されたものをスケールアップ(実験レベルから大量生産レベルに規模を拡大)し、効率的かつコスト最適な化学プラントを設計する学問です。つまり、実際の企業の技術部等でも行われていることが学問となっている、かなり実学的な分野です。

僕がこの専攻を選んだ理由は、まずポジティブな理由として、化学品の生産を化学だけでなく数学や物理の知識等も駆使して最適設計できる(またはそれを目指している)ことに興味を持ったからです。漠然と数字が好き、エネルギーが好き、といったのもそのように思った根底のきっかけにはあると思います。ちなみにネガティブな理由としては有機化学がそこまで好きになれなかったからですね笑。他分野の化学系に聞かれると批判を受けそうですが、有機化学の暗記くさい雰囲気が苦手でした。。

研究室は2箇所経験し、一つは流体力学を駆使したシミュレーションを行う所、もう1つは「反応工学」を駆使して実験を行う所でした。後者について、反応工学というのは先述の化学工学の範囲のうち、化学反応によって原料から目的物を得るプロセスにおける、反応の特性やそれに伴う機器の設計に関する学問です。化学工学の中でも肝の分野ですね。テーマとしては、エチレン製造プラントで起こる「コーキング」(熱分解炭素が管壁に生成する現象)の現象解明と反応速度の定式化を取り扱ってました。

このような学問を修めることから、卒業後は大手化学メーカーにてプラント設計や工程改善に携わる方々がとても多くいます。そんな中で僕は全く違う分野のメーカーにて製品開発を担当することとなりました。専攻が全く生きないのではと思われますが、僕は化学工学の考え方はどんなものづくりの分野でも生きてくると思っています。どんなメーカーでも、まずはラボスケールで製品を開発し、その後工場にて大量生産に転換させていくというプロセスをとるものですが、大量生産に向かない製品を開発したところで無意味です。その意味では、先にある大量生産を見越ながら開発に取り組むことができるというのは、僕のように化学工学を学んだ者の強みだと思います。まだ研修しか受けていない若造が何言っているんだという感じになりますが、今後開発に携わるに当たって大事なことかなと思い、自分の開発での役割・ポジション取りを今一度見直す備忘録的な意味も込めて書かせていただきました。大学で学んだことが100%で生きることはないと思いますが、人生で得てきた他のこともかいつまみながら今の自分に活用したいなと思います。


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