【読書メモ】人生の短さについて

古代ローマの哲学者セネカの代表的な3作品が収録されている本書。

人生の短さについて 他2篇 セネカ著

「人生の短さについて」は、セネカの説く主体的な時間管理論。

愚者は無意識のうちに周囲に時間を奪われるが、賢者は過去の叡智に学ぶことで、人生を豊かにする。

人生が本当に長いか否かは、時間の量ではなく、その過ごし方の質によって決まるのだ、とセネカは述べる。

無意味に長生きすることに意味はなく、意味のある人生を送らなければならない。つまらない誘惑に人生を振り回されず、貴重な時間を自分自身のために使うべきだと。

自分の金銭を他人に分け与えようとする者など、どこを探しても見当たらない。なのに、だれもかれもが、なんとたくさんの人たちに、自分の人生を分け与えてしまうことか。ひとは、自分の財産を管理するときには倹約家だ。ところが、時間を使うときになると、途端に浪費家に変貌してしまう。ケチであることを褒めてもらえるのは、唯一このときだけだというのに。

当時から約二千年たった今でも、我々人間は多忙の中で相変わらず時間を浪費しながら生きている。この言葉を思い出すたびに毎度自問しては憂鬱になる。いまの私は、自分の人生を生きているのか、と。

時間をうまく使えていない人、周りに流されがちな人などにおすすめできる、セネカの哲学のエッセンスがつまった、非常に読みやすい実践哲学書である。


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