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サウナしきじ。

 夫は物事に対して、あんまり拘りがない。趣味や好きな事に対しては、想いはあるようやけど、自分で「拘りがないのが拘り(笑顔)」と言ってたりする。
 対して、わたしはと言えば、拘りがある。自分ではそんな事はないと思いたいところ、でも書く言葉に嘘はつけませんね、なかなか面倒な人間やと思う。

 そんな夫が、「2週間に1回は行きたい」なんて言い出したのが『サウナしきじ』。
 何を隠そう、お家から車で5分で行ける。
 でも、料金が高いと思っていたこと、玄人の方々が集まる場やと思ってたこと、水風呂があんまり得意でないこと……いろいろ理由をつけては、行ったことなかったサウナしきじ。

 そんな折、あれ?主に行く時間帯は料金900円やん、ドラマ「サ道」でも原田泰造さんが気持ちよさそうやな……聖地と言われるくらいやったら、初心者にも優しいかも(?)と、初めて行ったのがこの前……それが、いつの間にか今日で3回目のサウナしきじ。
 土曜日の21時半でも外で待たれてる方がいたので、今回は初めて日曜日朝6時から(サービスタイムで900円)入る事にした。

 正直なところ、水風呂って冷たいヒエヒエの修行の場やと思っていた。お腹が冷える事に対しては、一層の不安を持つわたし。日常生活でも、蚕の腹巻きに絶大な信頼を寄せている。
 でも、そんな修行みたいなことするの怖いな……なんて言うてられません。薬草サウナがとにかく熱いので、水風呂に助けを求める気持ちで浸かる。思った程冷たくはない。体もそろそろなら動かせる。「あー、ひたひた……ひたひた……健康な髪は頭皮から。健やかな体はお水から……」と思いながら水風呂にじっと沈む。温度はそこまで低くなくても、だんだん体が冷たくなってくる。
 1分、2分、そろそろ限界や、寒いと思って、あんまり大きく体を動かさずそろりと出たら、ぬるめの薬草風呂にドブンと入る。
 一瞬待って、それなりに冷えた体をじんわり包み込む薬草風呂のむせ返る漢方の匂いと温かさ。
 この瞬間がしきじに行って一番幸せ。
 とにかく気持ち良過ぎる。良い感じに煮出した枯葉色のゆったりしたお湯。しきじの薬草の入った袋は韓国から漢方を取り寄せてるとのことやけど、その袋を枕にして寝たら、さぞかし爆睡大魔人になれそうやなと思うくらい深みがあっていい匂いがする。若しくは、ルームスプレーでもいい。
 下からゴボゴボ出るジャグジーの浴槽のために、お湯が適度に動いて海底で揺れる昆布の気分になる。これがまた眠気を誘う。「ああ、このまま薬草風呂の妖怪になってもいいなぁ。いやいやここはサウナしきじ。熱々のサウナ行くか……」と、ゴゴゴゴゴ!と音を立てているサウナへ向かう、の繰り返し。

 サウナしきじの魅力って、癖のあるサウナ(特に男湯の方はドアから湯気が漏れてるとのこと)と、地下から汲み上げてるまろやかな天然水の水風呂の組み合わせの妙なんやろうな。ストイックというか、他には真似できない。
 最新のものはなく、必要最低限のものがしっかりたっぷりある。
 でも、わたしにはそれがいい。掃除も行き届いてるし、これくらいのアナログな方が落ち着く。
 次の日の朝は、肌もすごくプリプリしていて、良い汗をかくことが美容にとって如何に大事かということを実感する。
 水風呂の天然水は、持ち帰ってもいい。飲んでみると大変美味しい。ごくごく飲めるええお水や。

 一つ不満があるとすれば、カランかな。
 適温やったらいいのにな、一番端は40度でも熱湯かと思うお湯が出て、「アチアチアチ!!」と苦しんでしまった。そうかと思うと、どんなに熱い方にレバーを回しても、お水しか出ない箇所もある。女湯の方はさほど広くなくて、カランの数も多くないからな。まぁそれなら仕方ないか。
 ええやんか、そんな事に拘らんでも、とにかくまたあの薬草サウナと水風呂と薬草風呂に入りたいな、とおおらかな気持ちになってくる不思議。

※ちなみに、日曜日朝6時入店は、女湯はまずまずの混み具合。男湯の方は大変な混み様で、サウナ1セットしか出来ひんかったと夫はしょぼくれていた。行くなら土曜日の夜深い時間か、平日の夜ならええのかなぁ。