金髪で飲みに行く

道を聞かれるような人になりなさい、みたいなツイートが昔バズっていた気がする。人当たりが良くて優しそうと思われなさい、ということだと思う。実際のところ「暇で弱くてチョロそう」と思われているだけだろう。

私はよく道を聞かれる。コロナ前はよくライブに行っていたのだが、不思議なくらいライブハウスへの道を聞かれ、ボールペンを持っていないか聞かれ、シャッターを押してくれと頼まれた。

そんな人間なので1人で飲んでいたら絡まれる。学芸大学の駅前を20m進んだらキャッチに3回捕まった。高円寺に行けば怪しいCDを渡されそうになり新宿ではオリンピックのボランティアかと思うくらい英語と中国語に捕まる。

酒好きなのに長時間友達と会話をするのが疲れる私はどうにか平和に1人飲みを行いたい。ある日金髪のウィッグを買った。

髪型は地毛と同じ。顔も服も元の芋だ。しかし効果絶大だった。電車から降りようとしてるのにホームから突っ込んでくるおじさんも、サイドステップで話しかけてくるキャッチも、片言の募金も、楽しんでるか聞いてくるサラリーマンも消え去った。本当にこんなに違うのか、たかが髪の色で。

同時に、ヤンキーの髪が派手な理由もわかった気がする。髪の色を変えただけで強くなったような、許されることが増えたような気がしてしまうのだ。

コロナ禍になってから外で飲んでいない。あの頃は若気の至りっぽさがあったが、アラサーの今は少々厳しくなってしまうだろうか。それでも、たまには金髪で飲みに行きたい。

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