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準備をするっきゃない

癌の連絡を一番知らせたくなかったのは母親だった。
なぜなら僕は小さい頃から酷いアトピーであちこちの病院へ行き、
とにかく迷惑ばかりかけていたからだ。今でも鮮明に覚えているのは
二十歳くらいのころ。症状が悪化して「なんでこんな体に!」と
当たり散らしていたら母親が「ほんま、ゴメンな…」と呟いて
泣いて謝ったあの日が頭から無くなることはない。
マザコンと言われようが一生忘れてはいけない。
あの日の出来事があるから余計に心配をかけたくなく、
知らせたくなかった。

さて。最初に受診した総合病院の先生からは、
たとえ片側を全摘しても能力が半分になるわけではない
という説明を受けたが、残せるなら残したいと思うのが普通だ。
本当に回避する手段はないのか、セカンドオピニオン探しの旅が始まる。
考えつく検索ワードをGoogleにぶっこみ、出てきたページを読むと
Webサイトの中身は違っても内容はほぼ同じで関東にある3つに絞られた。
■千葉県にあるA大学病院
セカンドオピニオンは受け付けているが、希望する治療法は
コロナ対応で多忙につきいま受け付けていないと言われる。
最初でいきなりこう言われてかなり凹む。
■都内港区にあるB大学病院
セカンドオピニオンは受け付けているが、希望する治療法は
うちでは受け付けていない。電話が丁寧だっただけに残念。
■都内新宿区にあるC大学病院
「希望する先生はいますか?」と聞かれてそこまで調べていないことに
慌てふためき、「いなければこちらで指定しますね」と案内され、
は、はい!よろしくお願いします!!と勢いで答えてしまう。

電話を切ってから、本当にこの選択が良かったのか考えたけど、
コロナの影響や時間の制約など考えていると、これ以上選択の余地はない。
決まればもうやるしかない、持ち時間は約30分だ。
細かいニュアンはあとから微修正するとして
思いついた聞きたいことを片っ端からPCに書き連ねて、
優先順位をつけていく。この流れは普段の仕事とそっくり。
まさかこんなところで自分の仕事が役に立つとは思わなかった。
絞りに絞り込んでメインの質問は3つ。
話の流れでもう2.3個聞けたら100点満点としよう!

人生初のセカンドオピニオンは5/29の11時に決まった。

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