すぐできるのに、すぐできない!? 簡単だけど難しい業務改善方法とは
改善は3M「ムリ、ムラ、ムダ」をなくすこと、だと言われます。しかし、とにもかくにも、余裕がなければ進められません。現場からは「こんなに忙しいのに、改善なんてムリ」、経理部門からは「お金は出せません」だなんて、声が聞こえてきます(こんなに忙しいから改善するのですが...)。
「ムリ」、「ムラ」の改善には議論が必要です。問題の本質を捉え、改善策を検討する必要があります。その解決策には、資金が必要になるかもしれません。一方、「ムダ」の改善策は、やめる。無駄なことを、どうすれば良いかと議論することは、もっと無駄です。
「ムダ」の改善策はやめるだけ、たったそれだけです。誰でも、今すぐにでも、簡単に改善できます。
でも、やめられないのです
明らかに無駄だとわかっているのに、やめられない―。それはもう、仕事中毒でしょう。
多くは、「多分、無駄」だからやめられないというケースでしょう。
誰かがこの資料を見ているかもしれない(誰も見ていないかもしれない)
このデータがどこで使われているかわからない(使われていないかもしれない)
今までずっとこうやって記載してきた(元々記載する必要がなかったかもしれない)
手間がかかるけど、このサービスをやめたらお客さんが減ってしまう(いえ、増えるかもしれません)
それを、誰が見ているのか、どこで使われているのかを突き止めるのは、困難を極めます。挙句、誰もわからない、という結末も無きにしも非ず...。この、膨大で、無駄な確認作業を前に、人々は散ってゆくのです。
「とりあえず、今まで通りやっておくか。」
この、「多分、無駄」と思われるものは、一旦、やめてみましょう。判断を現場担当者に委ねるのではなく、管理者の責任において「やめてみる」のが良いかと思います。その上で、もし本来必要な業務であったなら、どこからか声が上がってくるでしょう。その声の合理性を踏まえて、必要ならば、また元に戻せばよいのです。
無駄な業務の判断軸
その業務が無駄かどうかは、どう判断すればよいのでしょう?
誰かが見るかもしれない資料、どこかで使うかもしれないデータ。それらに係る業務は、果たして無駄なのでしょうか。
結論から申し上げれば、業務の目的が明らかでない時点で、“かなり怪しい”と見るべきです。まずはすべて無駄だと判断して良いでしょう。もしそれを、実は、誰かが必要としていたとしても、どうしても必要である可能性は極めて低いと考えられます。
その業務が無駄かどうかは、業務の目的の合理性で判断しましょう。
ケースバイケース、と思われるかもしれませんが、そうすると、個別に、どっちのケースなのかを判断せねばなりません。その手続きが「とりあえず、今まで通りやっておくか」、につながってしまいます。
わからないからとりあえず続ける、ではなく、わからないからとりあえずやめてみる。本気の業務改善には、積極的な姿勢が必要です。
事実、やめるのは難しいのです
そうはいっても、やめるという判断は、簡単ではありません。これは「損失回避バイアス=利益の獲得よりも、損失の回避を優先してしまう、人間の心理的傾向」が作用するためです。決して、あなたの判断力が欠けているわけではありません。二度と使わないと思っていても、ちょっとしたブランドのショッパーバッグ(紙袋)を捨てられない、そんな経験、ないでしょうか?
しかし、もし、これに穴が開いていて、明らかに使えないとなれば、なんら躊躇せずに捨てることができるのではないでしょうか。
その業務が、明らかに無駄であると判断出来さえすれば、やめることに抵抗は感じられないのです。そのためにも、日ごろから業務フローをしっかりと整備しておくなどし、個々の業務の目的を明確にしておくことが重要でしょう。
繰り返しますが、無駄な業務をどうするかを議論するのは、まさに最上級の無駄。その無駄な業務に使う時間は、無駄な時間。無駄な業務の対価として支払う賃金は、無駄なお金。無駄な業務の解決策は、「やめる」一択です。
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