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怪談 超ショート あっという間に読める恐怖の物語。

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実体験、体験者からの伝聞、創作など、様々な怪奇と不思議な短編をまとめました。 #ショートショート #短編 #怪談 #不思議 #恐怖
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2023年8月の記事一覧

「彼氏失格」・・・超ショートショート。おませな妹が夫婦の危機を導く。

『彼氏失格』 「お姉ちゃん。トオル君。あたしの彼氏よ」 歳の離れた妹の美央は、 こう言って幼稚園の男の子を紹介した。 「あれ?彼氏はユウ君かヒロシ君じゃなかったの?」 「違うわよ。ユウ君は、ジャングルジムから落ちて 泣いてて可哀そうだから彼氏にしたの。 ヒロシ君ははね、忘れ物をして先生に怒られて可哀そうだったから 友達から、彼氏に格上げしてあげたの。ヒロシ君は・・・」 美央は自慢げに語り続けた。 つまるところ、美央の彼氏は、トオル君で7人目といういうことらしい。

「耳なし芳一」・・・高架下で講談。

神田伊織さんの「耳なし芳一」他一席を屋外で聴いた。 会場は、なんと、つくばエクスプレスの高架下。 普段は観葉植物などを販売しているお店のカフェで 講談の会が催されたのだ。 怪談好きの私は、演目が「耳なし芳一」と聞いて予約したのだが、 「こんな所での講談会なんてお客さんが来るのかな」と 他人事ながら心配したのだが、7~80席が前売りだけで完売! やはり「怪談」の引きは強い。 それにしても面白い空間だ。 鉄道を支える巨大な柱の狭間に出来る空間に、まるでジャングルのように 植

「湊稲荷の狛犬」・・・恋しい人に会いたい思いが、恐ろしい行動を選ばせた。

あっという間に読める短編・・・港町に伝えられる伝説を男への執着で変えてしまおうとする女の物語。自分の都合で神の宣託さえ変えようとする者には、恐ろしい罰が下る。 『湊稲荷(みなといなり)の狛犬』(越後の伝説より) 「思ふまいぞへ 思ふたとても どうせ添(そわ)れる身ではない」 考えてはならん。 考えたところで、一緒になれる訳は無いのだから。 越後の港を眺める廓・結城楼の遊女、お初は、 朝まで床を同じくした船員、清次郎を港まで見送りに来ていた。 『おなごりおしゅうござい

「思い出にない記念写真」・・・SKYWAVEラジオ放送版。

昨日24日。「清原愛のgoing 愛 way」で 「旅行シーズンの不思議なお話」として紹介された 「思い出にない記念写真」朗読原稿に一部加筆したものを特別に紹介します。 楽しいはずの思い出の記念写真が・・・。 ・・・・・・・・・・・ 「思い出に無い記念写真」  作 夢乃玉堂 志郎とは、高校1年の時から付き合い始めて、もう4年目になる。 最近は、ちょっと倦怠期だ。 どこに遊びに行っても新鮮味が無く、 高級なレストランも味気なく感じてしまう。 「そんな時は初心に帰れ」

「適合」・・・暑い中、少しでも涼しくしたい。

さて、暑いですね。 何をしていても頭がぼおっとします。 エアコンの使用で来月の電気代が怖い! いくらかでも寒くなれば、と 昨日ラジオで読まれたちょっとゾクゾクの作品を紹介します。 SKYWAVEFM の『清原愛のGoing愛Way 』 朗読作品は、「適合」。 短いですが、MCの清原愛さんの読みのおかげでゾクっと来ました。 では、「適合」。放送分に一部加筆しました。 ・・・・・・・・・・・ 「適合」   作 夢乃玉堂 「残念ですが、あなたも奥様も不適合でした」

「交差点の二人」から「交差点の歴女」へ。

火曜日にラヂオつくばで放送された作品を特別公開します。 放送台本に一部加筆しています。 ・・・・・・・・・・・・・・ 「交差点の歴女(交差点の二人)」 作 夢乃玉堂 夏の予定を楽しそうに語りながら歩く人達が、ひどく憎らしく思えた。 聞こえてくる何気ない会話からも、担任の辛らつな言葉を連想させる。 「夏だからって遊んでると大変なことになるぞ。 日本史と国語だけじゃあ、共通テストは突破できないからな」 反論の余地がない。夏場の頑張りが勝負を決めると言われて、 家族旅行