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怪談 超ショート あっという間に読める恐怖の物語。

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実体験、体験者からの伝聞、創作など、様々な怪奇と不思議な短編をまとめました。 #ショートショート #短編 #怪談 #不思議 #恐怖
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2022年8月の記事一覧

「幸運のサブスク」・・・R怪談。定額で手に入るものは。

「月額基本料だけでラッキーな一日をあなたに」という触れ込みの 占いサイトを見つけた。 誕生日を登録すると、無料でラッキーメールを送ってくれるという。 ちょっと怪しいな、と思ったが、彼氏に振られ、仕事もクビになった私は、 無料ならいいか、と気楽な気持ちで登録してしまった。 翌日、初めて来たメールは、こんな内容だった。 「今日、あなたの星座は、Aという占いサイトとBというTV番組の占いコーナーで、一番ラッキーでした」 何のことは無い、そのサイトは、 巷にあふれるたくさんの

「定員二人」・・・怪談。やや18禁です。

私が数年前にアルバイトで働いていたホテル「A」は定員二人。 いわゆるカップルズホテルでした。 女性のバイトは私だけで、当時の彼氏はこのバイトを快く思っていなかったようですが、 「前はビジネスホテルだったから、廊下に防犯用のカメラも設置されてるし、私の仕事はトラブル対応要因だから。この手のホテルでは何かあった時に女性のスタッフが対応した方が良い場合も多いのよ」 そんな適当な理由を言って、私は彼氏を説得しました。 時給の良いバイトを逃したくなかったのです。 確かに仕事の内

「うつった顔」・・・ホラー。引っ越して来た隣人は。

お隣の家が引っ越しだ。 新しい住人はどんな人なのかと、そっと二階の窓を開けたら、 ちょうど引っ越し屋が、大きな鏡を運びこんでいるところだった。 中年の女性が、指示を出している。 「彼女が今度の住人かな」 眺めていると、鏡に映ったその女性と目が合った。 悪意で覗いていたわけではないので、 軽く会釈したら、心底嫌そうな顔を見せてカーテンを閉じた。 「畜生! なんだあの女」 こんな時、俺は俄然燃え上がる。 昔ならしたヤンチャな性格が、湧き上がってくるのだ。 「あのプラ

「どちらまで」・・・超ショート怪談。よ~くその場面を想像してみて。

飲み過ぎた夜、酔い覚ましもせずに、タクシーに乗り込んだ。 眠気を必死に抑え込んでいる俺が行先を伝える前に、運転手が言った。 「青山霊園で一人、鈴ヶ森処刑場跡で一人、 最後は羽田の鳥居前ですね」 乗ったのは、俺一人のはずなのに・・・。                                         おわり 「タクシー」改訂。 #怪談 #不思議 #謎 #恐怖 #短編 #怖い #タクシー

「足音の群れ」・・・超ショート怪談。肝試しに連れてこられた女の運命は。

大学の女友達である真理愛に誘われ、Y県にある廃線跡のトンネルを訪ねた。 「このトンネル、出るって有名なんだ。地元の人が何度も見ているらしいわよ」 「やだ~。早く帰ろうよ」 私は全く怖いのが苦手、真理愛はそれを知ってて、心霊スポット巡りに誘って来る。 それなら行かなければ良いじゃないかとよく言われるのだが、 真理愛には上手い事言いくるめられてしまう。 「大丈夫だよ~。トンネルの向こうに美味しいパフェのお店があるから。行こう」 まあ、私が食いしん坊なのがいけないのだけ

「お墓参り」よ~くその場面を想像してみて。ショートショートよりももっと短い、超ショート怪談。

『お墓参り』 「お墓から帰る時は、決して振り返っちゃいけないよ」 「どうして?」 「振り返ると、恐ろしい事が起こるのよ」 「え~。どうしよう。僕、さっきちらっと振り返っちゃったよ。え~ん」 「あらあら。泣き出しちゃったの? 大丈夫よ。怖くないから、 ほうら。いないいないばぁ・・・」 前を歩く叔母さんの、髪の毛の間から見える真っ赤な唇が、 そう言って笑わそうとした。 僕はその唇から目を離さず、しっかりと見つめた。 「どうかしたの? 青い顔して何を泣いてるの?」

「来世クイズ」・・・超ショート怪談。未来の妄想はほどほどにしておいた方が良い。特に家族については。

『来世クイズ』 グラスに残った最後のビールを飲み干しながら、 俺は流し台の前にいるミツコを眺めていた。 思えば40年以上、この女(ひと)には苦労を掛けてきた。 急死したオヤジに代わって、借金だらけの工場を立て直すために 会社を辞めた時も、接待接待でロクに家に帰らなくなった時も、 投資話に騙されて家を失いそうになった時も、 妻は愚痴一つ言わず、家計を支えるためにたくさんのパートを抱え 馬車馬のように働いてくれた。 コアラのような、のんびりした見た目のミツコだが、 リスやハ