「緑の髪」・・・ショート怪談。ぞっとしてほっこりして、馬鹿馬鹿しく。
「昔昔のことだ。奥州の国境に、留吉という正直者のお百姓さんが住んでいた。
ある日、留吉は蕨採りの帰り道に迷ってしまった。
どうやっても帰り道が分からず、日も傾いてくる。
歩き疲れてしまった留吉は、杉林の中にある小さなお堂で朝まで過ごす事にした。お堂の中には、古びて形もよく分からなくなり床から生えたツタが絡みついている石像がたった一つ置かれているだけだった。
『これは宿賃という訳ではございませんが、ほんの気持ちでごぜえます』
留吉はそう言って、採ったばかりの蕨を一束、その石