Re: アイドルになろうか

1. 本稿の目的
 本稿は、先日終了した、えるすりー出演権獲得SHOWROOMイベに、気持ちが曖昧なまま参加した私の所感と反省です。

2. 結目ユイちゃんについて
 ユイちゃんについて、自分が話す資格はないだろう。ただ、彼女は素敵な女性なんだということは伝えたいのです。
 オーディションの時の彼女は、男勝りで、周りを引っ張っていく、破天荒なところが垣間見られる、どちらかといえば強いイメージの女性でした。その面は、ツイッターでも前面に出てるかと思うのですが、他方で彼女は他人のために行動できる人だと思うのです。
 デビュー時からずっと欠かさず見てきたわけではないので象徴的なエピソードということになるのですが、雨ヶ崎笑虹ちゃんの楽曲イベの最終枠、配信で涙ながらに彼女への応援を要請する姿を今でも覚えています。他人のために泣くことのできる人ってとても素敵だと思うのです。
 それに彼女はAVATAR2.0というものを大事にしていた、というよりもそこから始めて大きくなろうという意識が高かったように思う。今はどうか分からないけれど、少なくとも当時は契約期間が明確であったから、大きくならないといけなかったのかもしれないし、実際のところは分からないけれど、とにかく彼女はA2Pというものに一生懸命であったと感じていました。 Twitterでの活動、特に1人が移籍、1人は実質個人勢化してからの彼女の活動もまた、その線上にあるものだと理解して、頑張ってるなぁと思いながら、それによって着実に界隈の認知度を上げてイベントにも呼ばれている彼女を眺めておりました。
 だから、彼女の心情を綴ったブログを読んだとき、「そうだよね……」という気持ちと同時に、自分の知らない時期の、とりわけ今年からの彼女の行動の裏にあったものに触れて、どうしてこういう状況になっているのかを理解しました。
 歌いたいという彼女の気持ちは初期の方から明確であったと記憶してます。それはどちらかといえばバンドの歌い手のような方向かなぁという感じでした。そして彼女はそのために懸命であったと思う。その過程では、彼女なりに犠牲にするものもあったかもしれない。彼女のTwitterを眺めながら、そんなことを思う日もありました。
 そんな彼女だからこそ、えるすりーイベに出ると知った時、強いだろうなと思っていました。これまで彼女がやってきたこと、それが実を結ぶだろうと思っていました。そして実際にそうなったのです。
 そもそも、笑虹ちゃんが出ると知ってなお、もしくは出るだろうと予測できてもなお、参加したことについて、彼女が何も悩みはしなかったとは私には思えなかったのです。楽曲イベを応援し、移籍したときも彼女の夢だからと送り出し、きっと卒業についても前から知っていたであろう彼女が、どんな気持ちでこのイベントへの参加を決めたのか、ということを浅ましくも私は考えてしまったのです。
 ただ、私の気持ちとしては、「アイドルフェス」というのがやっぱり気になっていたのです。単純に「アイドル」というイメージがなかった。とはいえ、笑虹ちゃんがそのステージに立つイメージも湧かなかった。そして後述のように、私はまだ彼女に関しては未だスッキリしない部分があった。ただ、笑虹ちゃんは「アイドル」であった。その一点、イベント趣旨との形式的整合性という点が、私は傍観をさせず、笑虹ちゃんを応援する側に回させた、割と大きな要因だったと思う。
 ただ、それが自分を誤魔化しているだけだということは分かっていた。だから、その誤魔化しを償うように、ユイちゃんのところも笑虹ちゃんのところもイベント初心者が多いだろうと思って、SRイベの基本をまとめて、えるすりータグをつけて放流しました。目につけば良いな、という気持ちを込めて。そうしたらユイちゃんのファンがもっと良いものを回していたので、よきよきと思いながら眺めていました。
 それから、えるすりー参加者のファンがイベント自体に興味を持ってくれないかと割とタグをつけて放流していた。どうせ出場するなら、この人が出るんだということを知って待ち望まれて出場して欲しかったという気持ちでした。笑虹ちゃんに流れてくることを期待してなかったと言えば嘘になるけれど、きっとユイちゃん達も楽しい配信をしているだろうから、Vドル界隈でも好きになってくれる人はいるだろうという確信はありました。結果としてはほとんど意味なかったですね……。
 そんな感じで中途半端なまま過ごしたイベントでした。

3. Re: アイドルになろうか……
 笑虹ちゃんは卒業について、彼女なりに文章を尽くして説明していると思います。それで納得した人、納得できない人、どちらもいます。彼女は伝わらないことがもどかしいかもしれないけれど、それはそういうもので仕方ないことなのです。むしろ、文章は多様な解釈に開かれているからこそ、その意味で常に「誤読」の可能性に開かれているからこそ、いいのです。
 そして配信でも度々「アイドル」への、そして初めて「アイドル」への道を拓いてくれたA2Pへの並々ならぬ気持ちを伝えていました。だからこそ逆に、その覚悟を支えに出来なかったのか、が疑問に思えてしまうのです。彼女が覚悟を真摯に伝えれば伝えるほどに不自然になっていくという逆説があるのです。その逆説を解く事情が足りないような感覚が、納得できない人にはあると思うのです。
 彼女の文章の、私なりの解釈は既に示しました。「アイドル」は当人とファンとの間に結ばれる像であり、だからこそ、一方の気持ちだけでは存在できない、そんな存在なのだろうと思われるわけです。その像を作り出す「何か」を彼女はとても大事にしていて、きっとこれまでそれを後回しにして技術を磨いてきた、そう思われました。
 それはそれで納得がいくのです。ただ、やっぱりすっきりはしないのですね。この話はいくらやっても仕方ないことですからこれ以上はやめます。
 このイベント、初回配信を聴いていて彼女は「勝つ」「ポイント」にかなりこだわってたと思われました。初回の初回、もっとも注目され人が来るだろう配信で、イベントに関する情報で終始してしまって回れ右した人もいるのではないかな、と思ったのです。特に、今回は「元パレプロ・雨ヶ崎笑虹」の配信として興味本位で来た人、しかもSHOWROOMに馴染みのない人が多かったと思うのです。そういう人たちが、ひたすらイベントに関する情報を聞かされるだけの配信を聴いたらどう思うか、ということなのです。それに、効率タイテを互いにしている以上、数が上回る方が勝つしかないのであって、その数が劣っている分、不利なわけなんですね。なので、ユイちゃん・しあちゃんに流れていない浮動票であった「アイドル応援勢」を取り込んで数を増やすしかないんじゃないかな、と自分は思っていました。
 それに、自分も「アイドル」として過ごしてもらいたかった。
 それから歌枠が多くなり、私はただ彼女の歌った記録を垂れ流す日々でした。彼女の歌う曲はAKB系のリアルアイドルが多いことは知っていたので、それで少しでもアイドル系に興味のある人が来れば、という気持ちでした。
 最終日。自分はもう、彼女がやりたいことに賭けようと思った。彼女がやりたいなら、彼女が楽しめるのであれば、3時間ぶっ続けライブでもいい、とツイートしたわけです。
 そうしたら、それが基本路線として採用されてしまった。確かに、それは戦略の側面はあったかもしれない。けれどそれは、自分としては「これが雨ヶ崎笑虹なのだと周囲に知らしめて、覚えてもらう」という後ろ向きのものでした。
 誰かが「頭がいい」作戦だと言っていたが、作戦でも何でもない。ただこれからの彼女のリスタートとして素晴らしいステージじゃないか、と思っただけだ。
 大差をつけられた中で、効率ガン無視で、笑顔でフェスをやり遂げる。とてもロックで、とてもアイドルらしいじゃないか、と思っただけだ。「アイドル・雨ヶ崎笑虹」として、最高の選択肢じゃないか、と思っただけだ。
 そしたら案外と興味を持ってくれる人も散見された。普通にタイテをこなすよりもアイドルしていた、という声も見かけた。
 この最終枠、彼女は、「アイドル」になるために送り出してくれたA2Pへの想いと、それをなせずに卒業した悔しさとを涙ながらに語っていた。

 「アイドルになれなかった」

 慟哭といってもいいくらいのその言葉は、耳にこびりついて離れなかった。
 彼女は挫折を認めてしまったのだ。本気であればあるほど、それを口に出すこと自体がどれだけ辛いことか。
 しかし、彼女はこれからまた「アイドル」になるのだ。
 そして私も、「パレプロ・雨ヶ崎笑虹」に宛てた最後のファンレターに書いたように、色んなことをリセットして、また彼女の歩みを遠くから眺めてみようと思う。

 Re: アイドルになろうか!