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公会計・決算統計分析研究会 ✕ 横浜市行政評価(行イノ#8)

 8月25日(金)、公会計・決算統計分析研究会にお邪魔して、横浜市の「財政情報の見える化」と「行政評価の取組」についてお話させていただきました!
 研究会では、「地方単独事業(ソフト)」の決算統計を使って、歳出の自治体間比較の分析をしています。参加団体は、札幌市、栗山町、東神楽町、芽室町、小清水町で、北海道大学大学院の先生方が分析をサポートしています。また、北海道庁もオブザーバーとして参加しています。
 分析テーマと少し異なりますが、研究会メンバーは財政部門の方々が中心でしたので、業務に関係する内容ということで、財政情報の見える化と行政評価を取り上げました。


財政情報の見える化

企画したこと

 臨時財源を活用しながら、毎年度の予算編成を行っているといった厳しい財政状況から脱却して、これからも持続可能な市政運営を進めていくための一歩として、財政情報の見える化に取り組んできました。横浜の過去、現在、未来の財政情報の見える化を企画しました。

見える化の企画

 横浜の過去に関するデータには、既に公表されているものもありますが、データの羅列のみであったり、例えば、市民生活や市内経済関係する行政サービスの実施状況が30年前の比較するとどう変化してきたかなど、パッとみてわかるような公表となっていませんでした。
 また、横浜の現在について、施策・事業の進捗状況は、例えば基本計画の進捗は年1回の公表で、実施状況がわかりづらいこと、事業計画書や予算概要を公表しているものの、子育て、教育、福祉、防災、経済といった行政分野単位で予算(税金)の使われ方を知りたいと思っても、ホームページから検索するのに時間がかかるとの課題がありました。
 さらに、「財政状況はますます厳しくなる」との見込みは、基本計画期間中の中期の財政見通しは数値で示していましたが、さらにその先の見通しまでは示していませんでしたので、今後どの程度まで厳しさが増すのか、将来財政がイメージしづらいと言えました。

実践したこと

 企画案に沿って、見える化に取り組み、長期財政推計、財政見える化ダッシュボードなどを公表してきました。
 長期財政推計から、2065年度までの歳入と歳出の差である収支差が、どのくらいになるかが見えてきました。この収支差を解消し、将来にわたり持続可能な財政運営を進めていけるようにするための処方箋とも言える「財政ビジョン」をまとめ、議会の議決により確定しました。財政ビジョンの本体自体は、20ページ程度ですが、これとは別に、100ページ程度のボリュームのデータ・アクション編をまとめ、この中には、市税収入、市民生活・市内経済関連データ、大型公共投資の効果や進捗状況などのデータを掲載しました。

見える化の実践

次のSTEP

 現在、財務会計システムの再構築を行っています。新財務会計システムには、予算編成や政策立案に必要なデータを集積し、活用していく「行政経営プラットフォーム」を設置します。ローコード開発により設置予定です。準備に取り掛かっていますが、結構大変です。

行政評価の取組

取組の背景

 「財政ビジョン」では、収支差解消のマイルストーンをおいています。これまでの予算編成では臨時財源を活用しながら収支不足を解消し、予算をまとめてきました。これを改め、2030年までに臨時財源の一つである、減債基金活用額を段階的に縮減し、そのためには、歳出改革を強力に推進することで、結果、2030年度に見込まれる約500億円の収支差解消を目指しています。
 収支差解消に向けた改革を推進するために2つの仕組みをつくりました。1つは、市役所のガバナンスとマネジメントの強化、もう1つは、施策・事業の体系化、評価制度の再構築、予算編成との連動です。

歳出改革の仕組みを踏まえた工程(「横浜市中期計画2022-2025)」から抜粋)

2つの評価

 評価制度には、2つの評価があります。施策評価と事業評価です。取り組んでいることとして、

・施策評価
 中期計画に掲げた173施策について、施策のアウトカム指標検討と、施策に紐づいている各事業のロジックモデル作成を通じて、施策目的と事業の関係性の適切性などを確認しています。
 令和5年度は81の施策を対象に、アウトカム指標化などを行っています。

・事業評価
 これまで行ってきた定性的な自己評価から、客観的な指標による評価へと再構築し、全事業を対象に細事業ごとに自己分析を行い、自主的な事業の改善検討につなげています。事業評価書は決算市会前に公表します(補足:8/31公表しました)。
 また、令和4年度に先行して自己分析した100大事業(一般財源活用額の上位100事業)については、外部による点検を行っています。


事業評価書イメージ
※この例では事業中に2つの細事業があり、ピンク枠内がそれぞれの客観的指標に基づく自己分析


客観的指標の説明

 施策評価、事業評価それぞれでの気づきや改善が必要な点については、各部署で改善検討を行ったうえで、令和6年度予算編成の事業計画に反映していきます。なお、事業によっては、改善や見直しに一定の時間がかかるものもありますので、次年度だけでなく、令和7年度以降の予算編成も見据え、継続して改善検討を行っていきます。

参加者との意見交換など

 説明後、参加されたみなさんと
財政情報の見える化では
 ・長期財政推計公表による効果
 ・財政見える化ダッシュボード作成プロセス など
行政評価の取組では
 ・庁内浸透の取組 など
意見交換しました。
 時間の関係でできませんでしたが、参加されたみなさんの自治体での取組について、ぜひお聞きたいと思いました。
 また、みなさんとお会いできることを楽しみにしています!