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吉福伸逸さんの対談。

 タイ少数民族の子どもを支援するNPO組織「さくらプロジェクト」の代表・篠田隆司さんは、吉福伸逸さんのことを「ダイアローグの人」と呼びます。なにかの理論を構築したり、体系的に整理するよりも、相手との対話の中でその真価を発揮するというのです。そのとおり、吉福伸逸さんは数多くの対談を残しています。

『流体感覚』(雲母書房)

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 社会学者の見田宗介さん、工作舎を作った松岡正剛さん、宗教学者の中沢新一さんという凄すぎるメンバーと吉福さんとの対談です。見田さんは吉福さんに杉本博司さんを紹介されて会いに行ったそうなので、おそらく70年代からのおつきあいですね。それぞれ80年代と90年代の、10年の時を隔てた二つの対談が収録されています。いま読んでも新鮮ですね。

『楽園瞑想 神話的時間を生き直す』(雲母書房)

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 吉福さんと画家の宮迫千鶴さんの対談。実は最初に読んだときは、吉福さんが女性と対するときの「マッチョ」的な部分が気になってしまったのですが…。2回目に読んだときはぜんぜんそんなことはなく、毎日の家事のことから変性意識の深みまで縦横無尽に語る二人に引き込まれました。
 吉福さんの言葉は、こちらの心身のコンディション、シチュエーション、意識の在り方によって、まったく異なる様相を見せるということを、あらためて気づかされた本です。
 ただひとつ付け加えると、吉福さんは「こうあるべき」みたいな話が嫌いだったと思うのです。女性性やフェミニズムに対する理解が深かったと思いますが、「男とは」「女とは」「男女の関係とはこうあるべき」みたいな話はあまりしたくなかったのかと。

『こころの不思議、神の領域』(遠藤周作 PHP文庫)

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 作家の遠藤周作さんがホストをつとめた対談集。臨済宗妙心寺派管長平田精耕さん、フロイト派の精神科医小此木啓吾さんと並んで、吉福さんもお話をされています。今回出た『アンソロジー』にも収録されていたので、すでにお読みになった方もいるかも?
 吉福さんのパートを読むと、吉福さんが遠藤周作さんに対してトランスパーソナル心理学について講義しているようにしか思えません。あの『沈黙』の著者で誰もが知る人気作家、狐狸庵先生、「違いがわかる男」に対して、まるで学生に対するかのように講義する吉福さん。すごい。

『魂の芸術 武術から宇宙へ 松田隆智対談集』(福昌堂)

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 武術家松田隆智さんと夢枕獏、中沢新一、細野晴臣といった各分野の達人との対談集の中に、吉福さんとの対話も収録されています。二人が出会ったのは『ビー・ヒア・ナウ』が出たあとと書いてありますが、雑誌「メディテーション」でも同じ号に出ていますね。そのときはニアミスだったのかな?
「人間は知識と存在、この2つの側面から鍛えていかなければならない」など、後年の「4つの力」に通じるような話も出てきます。

『イブの出産、アダムの誕生』(きくちさかえ著 農文協)

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 きくちさんが「お産をめぐる旅」の中で出会ったさまざまな人との対話が収められている労作。吉福さんとの対話はバース・サイコロジーについての話がメインなのですが、吉福節は健在。「文化というものは、個人個人の体験を深めたり、人生に特定の意味を与えたりするものなのだけれど、逆に深い体験をさせないバッファー(緩衝器)のような役目もしてしまう」なんて言葉を読むと、吉福さんはほんとうに物事の本質だけをみていた人だったんだなあと思ってしまいます。

日本ユングクラブ会報「プシケー」Vol.8

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 日本ユングクラブ会報「プシケー」Vol.8に、吉福さんと河合隼雄さんの対談が掲載されています。1988年にお茶の水女子大でおこなわれた日本ユングクラブのシンポジウムでの講演を収録したものです。ニューサイエンスからトランスパーソナル心理学、ホロトロピック・ブレスワークの実際、スピリチュアル・エマージェンシー・ネットワークまで、縦横に語られています。版元は思索社です。

『精神世界の本』

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『意識のターニングポイント』

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『オルタナティヴ・ヴィジョン』

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『無意識の探検』








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