とある言い伝え 平成最後に

高校生のころ、1週間ですがパラオ共和国に留学していました。留学中はホームステイで、基本的にデイタイムは他の留学生と共に学び、夜にステイ先に戻るという生活でした。
土日は終日ホストファミリーと過ごすことになっていました。土曜日、他の家族と一緒にビーチに遊びに行った帰り、「明日の朝は教会に行くよ」と言われました。私は教会に行ったことがなかったので、楽しみにしながら寝ました。
次の朝、ホストマザー(本人はシスターと呼んで欲しいようですが)と一緒に起き、朝ごはんを食べているとき「今日はドライブよ~」と言われたので、教会経由のドライブかと思いました。でも、昼3時になっても教会に寄らないので、「教会は行かないの?」と聞くと「寝坊したから今日はいいの~」と返されました。わたしは何かの教えを信じているわけではなく宗教に対する感覚が分からないので、寝坊したから行かないとかいいのかよ(笑)と思いました。この適当な感じはパラオ人の性質なのか、それともこの人の性質なのかわかりません(恐らく後者です)。
その後、彼女はこう言いました。

「日曜日の朝はみんなで教会に行ったあと、海岸の掃除をするの。なぜなら、日曜日の朝、海岸にJapanese Emperorが来るって言い伝えがあるから」

パラオ共和国はその昔、日本の一部でした。このとき、日本人はパラオ人に日本語を教えましたが、教えたのは日本語だけではありませんでした。産業の面でも教育の面でも基盤を作ったのは日本人だといわれています。

当時、日本人にとって天皇は絶対であり、天皇(昭和天皇)は神だとされていたので、このような言い伝えが残っているのでしょう。

なおさら掃除に行かないといけなかったような気がしましたけどね。(笑)

ですが、その日は天皇陛下(現・明仁上皇)がパラオをご訪問されるちょうど1週間前でした。つまり、来週の日曜日は本当にEmperorが来るのです。大混乱じゃん!と思いました。

その次の週、大混乱することなくご訪問を終えられたようで本当に安堵しました。

平成の終わりに、文字にして残しておきます。

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